欧州

2024.10.05 09:00

ロシアによるウクライナへの長距離ドローン攻撃が激増 中国製も使い始めた可能性

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2023年末、ロシアメディアは「イタルマス」という新型の長距離攻撃ドローンがウクライナに対する戦争で初めて使用されたことを報じたが、裏づけはされていない。その記事で「ゲラニ2より軽量でエンジン音も異なる」と紹介されていたこのドローンは、イズデリエ54と特定された。エンジン音からシャヘドを「モペッド」、イズデリエ54を「芝刈り機」と呼び分ける人もいる。
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イタルマス/イズデリエ54は中国DLEエンジン(弥勒浩翔科技)製の60ccのDLE60型エンジンを搭載している。ホビー用ドローンで人気のこのエンジンは、シャヘドに搭載されているMD550エンジンの10分の1程度のパワーしか出ない。この点も、イタルマスは、ドローンの飛来数を増やして防御側を混乱させるための、より軽量・安価で小型弾頭のドローンだという印象を強める。

シャヘドの姉妹機「ゲルベラ」

7月、ロシアの新型ドローンとされる画像がソーシャルメディアで共有された。これもシャヘドより小さく、従来型の尾翼だが別の構成になっている。

より詳しい情報は同月その後、ロシアの「スターリンのハヤブサ」と呼ばれるグループが公開した動画で明らかにされた。それによると、名前はこれも花にちなんだ「ゲルベラ」(ロシア語で「ガーベラ」)で、自爆攻撃のほか偵察任務とデコイ(おとり)任務にも使えるという。機首にカメラを搭載しており、動画では目標まで視覚誘導できるようだ。
撃墜・鹵獲されてのちにゲルベラと判明した機体には、SIMカードとモデムも搭載されていた。理論的には携帯電話ネットワークを通じて遠距離から誘導することも可能ということになる。ゲルベラは大手メーカーではなく、ガステロ設計局という企業の製品だ。「ガステロ」というのはソ連の有名なパイロットの姓で、以前にロシアのFPVドローンに使われたこともある。このFPVドローンもガステロ設計局の製品だったのかもしれない。
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スターリンのハヤブサの動画でゲルベラはシャヘドの「妹」と説明されていて、弾頭がシャヘドより小さいことを示唆している。弾頭や航続距離などの詳細は不明だが、鹵獲機が撃ち落とされた場所はキーウ郊外だったということなので、少なくとも数百kmは飛行できるはずだ。ウクライナの情報筋は主な任務はデコイだろうと推測している。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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