ウクライナ軍突出部の南端に位置するプリョーホボ村に対するこの攻撃は失敗に終わった。しかも、たんに失敗しただけでなく、およそ考えられるなかで最も皮肉なかたちで失敗した。
ロシア軍の車列は、8月上旬にウクライナ軍の侵攻を受ける前、ロシア側がみずから設けていた対戦車トラップである対戦車壕と対戦車障害物(通称「竜の歯」)に引っかかってしまったのだ。
プリョーホボ村周辺には、ロシア側が構築していた防御用構造物が主に2つある。ひとつは歩兵壕群で、もうひとつが付近の対戦車トラップだ。突進してきたロシア軍部隊はこれらの対戦車トラップを越えるのに悪戦苦闘し、そこをウクライナ軍の守備隊である第129独立領土防衛旅団の自爆ドローン(無人機)で次々に攻撃された。
「わが軍の兵士たちはロシア占領軍とその装備に戦訓を与え、数十両の装甲車両を燃やし、敵の人員を除去した」。ウクライナの戦場記者ユーリー・ブトゥソウはそう報告している。
129th TDF.
— imi (m) (@moklasen) September 29, 2024
Large russian mechanized attack near Plekhovo, S-E of Sudzha, Kursk.https://t.co/AfOOnOWe8o pic.twitter.com/MJNMlnOXyJ
ロシア側は火砲も200門近く配備していたが、8月6日に受けたウクライナ軍の奇襲攻撃に際してはこの相当な規模の砲兵火力を生かせず、迅速に移動する侵攻部隊に進撃を許すことになった。
その結果、対戦車トラップや環状の歩兵壕はウクライナ側の資産になった。ロシア軍の守備隊と違って、第129領土防衛旅団はロシア軍の反撃を十分予期し、ロシア側の手になるよくできた防御用構造物も活用すべく手ぐすねを引いていたようだ。
これらの防御物はもともとの触れ込みどおりの役割を果たし、敵の攻撃を滞らせて時間を稼ぎ、自軍側が最も有効な火力で対応できるようにした。この点については、建設したロシア軍の工兵部隊をたたえるべきだろう。しかし、その効果的な対戦車トラップにはまり込んだのは敵の部隊ではなく、味方の部隊だった。当の工兵部隊としては喜ぶに喜べない話だろう。
(forbes.com 原文)