対照的に、最近の攻撃は被害が格段に大きくなっており、これは使われているドローンが、そこまで遠くまでは飛べないものの、破壊力が高く、かつ大量に入手できるものになっていることを示唆する。
そのドローンは、実質的に一種の巡航ミサイルと考えられるパリャヌィツャかもしれない。トロペツの攻撃現場近くにいたロシア人は、弾薬庫が爆発する前に上空でジェットエンジンの音が聞こえたと報告している。
翼を持ち、ターボジェットエンジンで推進するパリャヌィツャはウクライナで1年以上前から開発され、つい最近、戦闘デビューを果たしていた。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が8月24日に明らかにしたところによると、パリャヌィツャは初戦闘でロシア占領下クリミアの目標を攻撃した。
パリャヌィツャに搭載されているターボジェットエンジンは、チェコのPBSとウクライナのイウチェンコ・プロフレス社が共同開発したAI-PBS-350である。重量約50kgのAI-PBS-350は最大3400N(ニュートン)の推力を生み、1t弱のミサイルなら数百km飛ばすことが可能だ。
パリャヌィツャのサイズや速度、射程は、ウクライナ国産のネプトゥーン(ネプチューン)巡航ミサイルと同じくらいだと考えられる。
パリャヌィツャとネプトゥーンの大きな違いはエンジンであり、ネプトゥーンは効率的だが高価なターボファンエンジンを搭載する。パリャヌィツャに搭載されているターボジェットエンジンはより簡素でおそらく効率性も劣る半面、比較的安価だ。したがって、ウクライナはパリャヌィツャをネプトゥーンよりも多く、もしかするとはるかに多く製造できるかもしれない。
一度により多くのドローンなりミサイルなりを発射できれば、その分、大きな破壊をもたらすことができる。ネプトゥーンによる攻撃では通常、一度に発射されるのは数発だが、トロペツに対する攻撃では100機超のドローンが使われたと報告されている。
(forbes.com 原文)