宇宙

2024.08.24 15:00

天王星の衛星アリエルに「地下海が存在」か、JWSTで証拠発見

地質学的に活発

地下海は興味深いが、珍しいというわけではない。木星の衛星の中で最大級の3つであるエウロパ、ガニメデ、カリストや、土星の衛星エンケラドス、タイタン、ミマスにも存在する。地下海が惑星科学者の関心を捉えている理由は、海を持つ可能性があるのが地質学的に活発な天体に限られると考えられているからだ。

アリエルにあるドライアイスは、地下海で起きる化学反応によって生成され、氷の亀裂から、恐らくプルーム(噴出物)として表面に漏出していると考えられる。

さらに今回の観測では、液体水と岩石の相互作用でのみ生成される可能性のある炭酸塩鉱物が、アリエルの表面に存在する兆候も見つかった。カートライトは「この炭酸塩地形に関する今回の説明が正しければ、非常に大きな成果だ。なぜならこれは、衛星内部で生成される必要があったことを意味するからだ」と指摘している。「これに関しては、今後の観測やモデル化、あるいはいくつかの技術の併用を通じて裏づけを得ることが絶対的に必要になる」

天王星の表面を横切る氷衛星アリエルとその影を捉えた画像。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影(NASA, ESA, L. Sromovsky (University of Wisconsin, Madison), H. Hammel (Space Science Institute), and K. Rages (SETI))

天王星の表面を横切る氷衛星アリエルとその影を捉えた画像。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影(NASA, ESA, L. Sromovsky (University of Wisconsin, Madison), H. Hammel (Space Science Institute), and K. Rages (SETI))

天王星へのミッション?

アリエルについて明らかになっていることは少ない。NASAの探査機ボイジャー2号が1986年、太陽系の外惑星探査ミッションの間にアリエルの写真を撮影したが、画像に収めることができたのは表面全体の3分の1にとどまった。アリエルと他の天王星の衛星が、地質学的に活発で、海を持つ天体である可能性があることの兆候は、惑星科学者がNASAのミッションを推奨している理由の1つだ。

「天王星の周回探査機とプローブ(UOP)」は、天王星系を探査するミッションの計画案だ。打ち上げ機会は2030年代早期で、天王星到着まで12~13年かかる見通しだ。NASAが本当に探査機の送り込みを目指すなら、早急に行動を起こす必要がある。木星からの重力アシストが不可欠となるが、これが約12年ごとにしか実行できないからだ。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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