宇宙

2024.02.14 14:00

土星の「デス・スター」似の衛星に地下海、地球外生命の存在可能性を高める発見

土星とその衛星ミマスの合成画像(NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)

土星の小型の衛星ミマスに、地下海が存在することを確認したとの研究結果が発表された。地球外生命探査に極めて大きな影響を与える可能性のある研究結果だ。

これが驚くべき発見である理由は、海が存在する可能性があるのは地質学的に活発な天体に限られると考えられているからだ。土星の主な衛星の中で最小で、最も内側の軌道を公転周期わずか22時間で周回するミマスは、表面がクレーターで覆われ、変化のないことが示唆されるため、地質学的に不活発と見なされていた。

ミマスは、表面の広範囲を占める巨大な衝突クレーター「ハーシェル」があることで、映画『スター・ウォーズ』に登場する宇宙要塞「デス・スター(Death Star)」に似た外観になっている。

だが、ミマスには地質活動の痕跡がある。南極域にあるクレーターが他の場所のものに比べて小さいように見えるため、この地域で最近に融解や新しい表面の形成などが起きていることが示唆される。

今回の研究をまとめた論文では、ミマスの海は厚さ約20~30kmの氷殻の下にあり、形成された年代が約2500万年前より若いことが示唆されている。

全球規模の海洋

学術誌Natureに2月7日付で掲載された最新論文では、ミマスで全球規模の液体水の海が発見されたことが明らかになった。この海はわずか1500万~500万年前に形成されたという。

論文の共同執筆者で、英ロンドン大学クイーンメアリー校物理化学部天文学部門の名誉研究員ニック・クーパーは「今回の発見により、ミマスはエンケラドスやエウロパなどの内部海を持つ衛星の仲間入りを果たしたが、他とは違う点がある。それは、ミマスの海が著しく若いことだ」と指摘している。

ミマスの内部海は、土星とミマスとの潮汐相互作用を調べることで検出された。調査の結果、ミマスの軌道に見られる不規則性が、地下海によってしか引き起こされる可能性はないことが判明した。研究チームは、米航空宇宙局(NASA)の土星周回探査機カッシーニの観測データを使用した。カッシーニは2017年までの13年間、土星とその衛星を調査した。
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翻訳=河原稔

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