論文では、巨大ガス惑星の重力が、同じ主星を公転するより小さい惑星の未来を根本から変える可能性について詳しく説明している。
太陽系には4つの巨大ガス惑星(木星、土星、天王星、海王星)が存在する。中でも最大の木星は、巨大な重力の作用により、地球に危険を及ぼす恐れのある小惑星や彗星の進路を逸らしている。
破壊的役割
太陽系以外の恒星系では、巨大ガス惑星がはるかに破壊的な役割を演じている可能性がある。論文ではその一例として、うしかい座の方向に太陽系から121光年の距離にある、4つの巨大ガス惑星を持つ恒星系「HD 141399」を調査した。4つの巨大ガス惑星の作用によって、主星のハビタブルゾーン(生命生存可能領域)から惑星が弾き出されるかどうかを、コンピューターシミュレーションで調べた。ハビタブルゾーン
ハビタブルゾーンはゴルディロックスゾーンとも呼ばれ、水が液体の状態で惑星の表面に存在するために必要な、主星と惑星との距離のことだ。これは生命の必要条件と考えられている。領域は、内側の境界線「ボイルライン」(主星と惑星の距離が近すぎて、水が沸騰して蒸発してしまうライン)と、外側の「アイスライン」(水が凍結するライン)とで隔てられている。