宇宙

2024.08.23 10:30

NASAの火星探査車、クレーターの縁を登る壮大な旅へ

NASA/JPL-Caltech/MSSS

火星では、平地を移動するだけでも大変だ。砂まみれでほこりっぽく、岩がちで、風が強くて寒い。米航空宇宙局(NASA)の火星探査車「パーシビアランス(Perseverance:「不屈の努力」の意味)」は今、これらすべての条件に挑もうとしている。

今回の挑戦では、ジェゼロ・クレーターの縁を上まで登る。NASAは8月中旬、パーシビアランスの野心的な行程を発表した。標高差300m以上、最大23度の傾斜を登り切る計画だ。

パーシビアランスは2021年2月、ジェゼロ・クレーターに着陸。以来、クレーター内部で古代の湖や三角州を探査してきた。そして、今度はクレーターの西の縁を目指している。

プロジェクトマネージャーのアート・トンプソンは8月14日付の声明で、「パーシビアランスは4回の科学調査活動を完了し、22個の岩石コアを採取し、未舗装の地面を30km近く移動した」と説明。「今回、(クレーターの縁を目指す)クレーター・リム・キャンペーンを開始するにあたり、探査車はとても良い状態にある。クレーターの上に何があるかを見られる日を心待ちにしている」と述べた。

ジェゼロ・クレーターの西の縁を目指すパーシビアランスのルートを示す地図。地図の右上から左下に向かう。NASA/JPL-Caltech/University of Arizona

ジェゼロ・クレーターの西の縁を目指すパーシビアランスのルートを示す地図。地図の右上から左下に向かう。NASA/JPL-Caltech/University of Arizona

クレーター・リム・キャンペーンは今週中にも始まり、目的地への到達には数カ月かかる見込みだ。NASAによれば、「パーシビアランスがこれまで遭遇した中でも最も急斜面で、最も困難な地形」が待ち受けている。クレーターの頂上には、大きな科学的発見が待ち受けているかもしれない。NASAは「トゥルキーノ山」と呼ばれるエリアに関心を持っている。そこには古代の割れ目があり、大昔の熱水活動に関連があるのではないかとみられている。
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翻訳=米井香織/ガリレオ

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