欧州

2024.08.03 09:00

ロシア軍、T-72戦車と対潜迫撃砲を合体させたフランケン車両生み出す

問題は射程だ。TOS-1が170kgのロケット弾24発を最長10kmほど先に発射できるのに対して、RBU-6000は110kgのロケット弾12発を発射し、射程はおそらくその半分程度と考えられる。発射機は前線に近づけるほど敵火力にさらされやすくなる。

ロシア軍のTOS-1の半分ほどが撃破されていることがその危険性を物語っている。ロシア軍は1年ほど前からRBU-6000をウクライナでの戦闘に使い始めたが、搭載する装甲車両をより防護の高いものに代えてきたのは理由のないことではない。

ベース車両は当初、防護の弱いMT-LB装甲牽引車やトラックだった。その後、古いT-80戦車の車体が流用されるようになり、今回、T-72Bの使用が確認された。ウクライナ軍はトラック搭載型のRBU-6000も今年4月に1両撃破している。

もっとも、フランケンロケットランチャーの防護の強化には限界がある。たしかにT-72の車体はウラル軍用トラックよりは防護力が高い。しかし、RBU-6000は何に載せようがRBU-6000のままであり、その12発のデリケートなロケット弾は自爆ドローンや砲弾の破片、あるいは機関銃の銃弾数発ですら、命中すればほぼ確実にクックオフ(熱による自然爆発)してしまう。

ロシアとウクライナによる戦争の前線は世界で最も危険な場所になっている。塹壕があちこちに掘られ、砲弾によるクレーターだらけで、地上には地雷がばら撒かれ、上空にはドローンがひっきりなしに飛び交う1000kmにおよぶ両軍の接触線で、2年半近くの間に双方合わせて数万点の装備が破壊され、数十万人が死傷した。

ここでは、オリジナルのTOS-1であれ、即席につくったT-72B-RBU-6000であれ、どんな短距離ロケットランチャーも安全ではない。第3強襲旅団のドローン操縦士は今週、それをあらためて証明した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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