宇宙

2024.07.13 13:00

わずか48光年先に「水の惑星」 窒素の大気も保有か、JWST観測が示唆

論文の共同執筆者で、LHS 1140 bの大気の分析に寄与した、モントリオール大天文学部所属のNASAカール・セーガン特別研究員、ライアン・マクドナルドは「今回初めて、ハビタブルゾーン内にあるスーパーアースの大気を極めて興味深く垣間見ることができた」と述べている。「TRAPPIST-1(トラピスト1)恒星系の惑星などの、ハビタブルゾーン内にあることが知られている他の系外惑星と比較すると、主星のLHS 1140がより平穏で活動性が低いように見えるため、LHS 1140 bの大気と、恒星黒点によって生じる信号とを区別するのがはるかに容易になっている」

スーパーアースの系外惑星LHS 1140 bを描いた想像図。中央はその主星の赤色矮星LHS 1140(ESO/spaceengine.org)

スーパーアースの系外惑星LHS 1140 bを描いた想像図。中央はその主星の赤色矮星LHS 1140(ESO/spaceengine.org)

地球に似た大気?

研究チームは、窒素に富む地球に似た大気が見つかることを期待した。「ハビタブルゾーンにある岩石質または氷に富む系外惑星の大気の兆候が確認されたのは、これが初めてのことだ」と、マクドナルドは説明している。「LHS 1140 bは、ハビタブルゾーンにあって厚い大気を維持することが可能な小型系外惑星としては最高の例の1つであり、今回の研究ではこの惑星に大気が存在する証拠が見つかったかもしれないのだ」

だが、気体状窒素が示す特徴的パターンの裏付けを得るには、JWSTによるさらなる観測が必要だと、研究チームは述べている。「窒素に富む大気の裏づけを得て、他の気体を探すためにも、さらなるJWSTの観測が必要ではあるものの、これは幸先の良いスタートだ」と、マクドナルドは話す。

進展は遅くなる見通しだ。LHS 1140 bが主星の前面を通過(トランジット)するのを(そしてその間に惑星大気の情報が記録される主星の光を)JWSTは年に8回しか観測できないからだ。そのため、二酸化炭素を検出し、惑星表面に液体水が存在することを確認するには、数年にわたる観測が必要になると、研究チームは指摘している。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事