宇宙

2024.06.02 09:45

金星に似た外惑星、地球からわずか40光年の近所

プレスリリースより

環境が金星によく似ていて、大気があり、もしかしたら水もあるかもしれない系外惑星の存在が確認された。地球から40光年離れたグリーゼ12という赤色矮星の惑星「グリーゼ12b」だ。地球から近いために、観測がしやすく、太陽系外の地球型惑星の詳細な研究が可能になるという。

観測技術の発達により、地球から遠く離れた惑星系の研究が進められている。これまでに、太陽系外で生命の居住に適した地球のような環境を持つとされる惑星(系外惑星)が5500個ほど発見されているが、その多くは非常に遠くにあるため細かい観測が難しい。そこで近年は、太陽系に近い場所での探索が行われ、いくつか候補が発見されている。ひとつには、地球型惑星を7つ持つトラピスト1惑星系があるが、そのうち最有力候補であった第2惑星トラピスト1cは、厚い大気が存在しないことがわかった。主星のX線や紫外線が強すぎるために、大気を保持できなかったのだ。
厚い大気がある場合とそうでない場合のグリーゼ12bの想像図(NASA提供)

厚い大気がある場合とそうでない場合のグリーゼ12bの想像図(NASA提供)

グリーゼ12は半径が太陽の4分の1ほどの小さな赤色矮星だ、半径が地球の0.96倍というグリーゼ12bは、主星からの距離が0.07天文単位(太陽と地球の14分の1)と非常に近く、公転周期(1年の長さ)は12.8日と短いが、主星の表面温度は太陽より2500度低い3000度であるために日射量は地球の約1.6倍、金星よりやや低い程度だ。そのため、大気が保持され、その組成によっては水が存在が期待されている。

日本では、すばる望遠鏡でグリーゼ12の観測を続けていたが、アメリカはTESSによってグリーゼ12に地球サイズの惑星が存在する兆候を掴んでいた。そこで、東京大学、国立天文台、東京工業大学、アストロバイオテクノロジーセンター、NASAなどによる国際研究チームは、新たな機器を開発するなどして観測を強化し、ついにグリーゼ12bの存在を確認したというわけだ。

現在、ハワイに建設が予定されている30メートル級の地上望遠鏡「TMT」が完成すれば、「この惑星がどのような大気を持つのか、水蒸気、酸素、二酸化炭素など生命に関連のある成分が存在するのか、明らかになる」とアストロバイオロジーセンター葛原昌幸特任助教は話している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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