観測技術の発達により、地球から遠く離れた惑星系の研究が進められている。これまでに、太陽系外で生命の居住に適した地球のような環境を持つとされる惑星(系外惑星)が5500個ほど発見されているが、その多くは非常に遠くにあるため細かい観測が難しい。そこで近年は、太陽系に近い場所での探索が行われ、いくつか候補が発見されている。ひとつには、地球型惑星を7つ持つトラピスト1惑星系があるが、そのうち最有力候補であった第2惑星トラピスト1cは、厚い大気が存在しないことがわかった。主星のX線や紫外線が強すぎるために、大気を保持できなかったのだ。

日本では、すばる望遠鏡でグリーゼ12の観測を続けていたが、アメリカはTESSによってグリーゼ12に地球サイズの惑星が存在する兆候を掴んでいた。そこで、東京大学、国立天文台、東京工業大学、アストロバイオテクノロジーセンター、NASAなどによる国際研究チームは、新たな機器を開発するなどして観測を強化し、ついにグリーゼ12bの存在を確認したというわけだ。
現在、ハワイに建設が予定されている30メートル級の地上望遠鏡「TMT」が完成すれば、「この惑星がどのような大気を持つのか、水蒸気、酸素、二酸化炭素など生命に関連のある成分が存在するのか、明らかになる」とアストロバイオロジーセンター葛原昌幸特任助教は話している。
プレスリリース