さらに、アーティスト、アート作品がもつ表現の力、ナラティブ(物語)から学び、企業や商品のストーリーを伝えていくことがポイントです。多くの日本企業はせっかく独自の価値をもっていても、その体系化と構造化をする力、そしてコンテクストを自国を超えて伝えていくナラティブの力が弱く、アキレス腱となっています。
日本発のグローバルなラグジュアリーブランドがまだほとんど存在しないことや、グローバルに展開している企業の営業利益率が欧米企業と比較して相対的に低いことは、ここに起因する可能性があります。
「アートバーゼル香港2024」では、若く国際的なアーティストが活躍している姿が印象的でした。長い時間軸で未来を見ているアーティストたちが軽やかに実践していることから、企業も学ぶことができます。具体的には、自分の感性・アイデンティティを軸にコンセプトを作り、それを社会的文脈・関係性のなかに位置づけ、世界に自信をもって発信していく。
そういった起業家人材、リーダーシップを備えた人材の発掘と育成が、今後の大きな成功の鍵になりそうです。