2. アロマンティックに関しては、大きな誤解がまかり通っている
アロマンティックのコミュニティーに属する人はしばしば、LGBTQIA+コミュニティーの一員とされることから生じる偏見に直面する。また、世間一般の恋愛的欲求や愛情を感じないことについて「ロボット」「エイリアン」「モンスター」といった差別的な比喩の対象になりがちだ。こうした「アロマンティックに対する偏見」につながる、3つのよくある誤解がある。
1. アロマンティックには、愛情に根ざした関係を結ぶ能力がない
これは、アロマンティックを自認する人たちが友人や家族など恋愛関係にないパートナーと結ぶ、深く意味ある絆を無視した偏見だ。研究に協力した26歳の参加者は、次のように発言している。「友人やペットにプラトニックに惚れ込むことはあるし、本当にきれいな日没の光景などを見て、美しさのあまり心を奪われることもある。いわゆる恋愛関係ではないだけだ」2. アロマンティックは、アセクシャルの同義語だ
アロマンティックは、アセクシャルと同じだと誤解されることが多い。しかしこの2つは、恋愛と性という異なる指向を指す言葉だ。アロマンティックが「他者に恋愛感情を抱かない」のに対し、アセクシャルは「他者に性的欲求を抱かない」指向だ。両方の指向を自認する人もいる(アロマンティック・アセクシャルと呼ばれる)が、そうでない人も多い。今回の研究では参加者の90%が、この2つは別々の指向として尊重されるべきだと回答している。3. アロマンティックは感情が欠落している、あるいはトラウマを抱えている
もう一つの有害なステレオタイプは、アロマンティックの人は感情が欠落しているか、トラウマを抱えているか、精神疾患があるに違いない、という偏見だ。こうした見方が示唆するのは、恋愛感情を抱かないのは「治すべき問題」であり、アロマンティックを自認する人たちは「過去の苦い経験を理由に、恋愛しない道を選んでいるだけ」という考えだ。たしかにトラウマ的な経験をしたケースもあるかもしれないが、だからといって彼らの恋愛に関する指向が偽りだということにはならない。