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2024.06.11 15:15

出社する意義と、「支持者」の価値 BoxノッテボーンCOOの「仕事論」

──創業当初のBoxはクラウドストレージサービス企業でしたが、顧客ターゲットをエンタープライズ(大企業)市場へ寄せたのち、現在はコンテンツ・マネジメントへ進化しています。AI(人工知能)を実装することで、コラボレーション・プラットフォームとしての潜在性が引き出されるように思えます。

ノッテボーン:私たちがBoxを、単にストレージや共有のためのサービスではなく、エンド・ツー・エンドのコンテンツ・ソリューションとして考えている点がすべてだと思います。そう考えてこそ、Boxのプラットフォームとしてのコンセプトが力を発揮するのです。非構造化コンテンツを取り込んだり、Box上で作成・コラボレーションしたり、リッチ化したり、ワークフロー内で利用したり。そのために、ドキュメントやフォームの作成、ワークフローの適用など、さまざまな機能を開発しています。

そして今は、AIという新しいレイヤーがあります。AIを通じてインサイトを得ることはもちろん、キュレートされた特定のコンテンツから非構造化されたコンテンツを生成し、管理からアクセス、公開に至るまで、そのすべてを行うことができる。つまり、非構造化データからインサイトを抽出するだけではなく、コンテンツ全体のライフサイクルを管理できるサービスだと、私は考えています。

よく経営者に「自社にとって最大の課題は何か?」と尋ねると、多くの人が「データがあちこちに散らばっている」点を挙げます。それには大別して3つの問題点があります。

1点目は、「コスト」です。多くの企業は、非構造化データを各社が提供するアプリケーション上で保存しています。その管理には人件費がかかります。2点目は、「非効率な生産性」。非構造化データが企業内に散在しているため、その情報が必要なナレッジ・ワーカー(知識労働者)は、それを見つけられません。3点目は、セキュリティの面で必ずしも安全ではないということ。いずれかのアプリがデータを漏えいさせてしまうリスクがあり、セキュリティ管理が大きな負担になります。

Boxは2024年1月、ノーコードのエンタープライズコンテンツ管理アプリ企業「Crooze(クルーズ)」を買収しました。これにより、プラットフォーム上でアプリを作成するノーコード・ローコードのワークフローも実現されます。電子署名アプリやフォーム作成アプリもあります。プラットフォーム上にある非構造化データを利用するだけでなく、企業内で作業を完結させるワークフローを作成できるのです。生産性の観点からも、市場における優位性を確立するためにもカギになると考えています。
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テクノロジー > AI

Box共同創業者が語る、「AIが掘り起こす社内に眠る宝」

──共同創業者兼CEOのアーロン・レヴィは常々、Boxのビジネスモデルとして「ベスト・オブ・ブリード(Best of Breed)」を挙げています。他の企業と緊密に連携し、エコシステム(生態系)を築くことです。しかし、既存のコンテンツ・マネジメント・プラットフォームに、非構造化データを生かせる「AI」を組み合わせることで、従来よりも強力なポジションへ移行できるとお考えでしょうか?

ノッテボーン:まず触れておきたいのは、Boxは依然としてエコシステムの中で活動しており、それは私たちにとって変わりなく重要だという点です。例えば、マイクロソフトの製品とは緊密に連携しています。セールスフォースやサービスナウ、グーグルも同じです。重要なのは、「一匹狼」として単独で活動するのではなく、協力関係にある各社とエコシステムの中で共生することです。それは、これまで以上にお客様に提供できる、競合他社との差別化された価値になるのではないでしょうか。
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文 = 井関庸介

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