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2024.06.11 15:15

出社する意義と、「支持者」の価値 BoxノッテボーンCOOの「仕事論」

──お子さんがいらっしゃるとのことです。子育てをしながら、経営幹部を務めるのはとても大変に思えますが、実際にはどのような困難を経験しましたか?

ノッテボーン:10代の子供たちがいます。でも、「トレードオフ(二律背反)」として考えるのではなく、子供をもつことの現実と、子供たちと一緒にいたいという気持ちを両立させようとしています。私は知的なチャレンジが大好きです。心から面白いと思える仕事にかかわることで得られる喜びというものがあります。子供と過ごすのが大好きな母親でありながら、自分の頭脳をフル回転させて何かを作り上げたい、という欲求があります。それは両立するのです。

若い頃は猛烈に働き、マッキンゼーでアソシエイト・パートナーになるまで、最初の子供をもちませんでした。だから、それまでにいろいろな仕事を経験できました。アナリスト、アソシエイト、エンゲージメント・マネージャー、そしてアソシエイト・パートナーを経験しています。もし子供がいたら、そのすべてをカバーすることはできなかったでしょう。

世の中は大きく変わったと思います。これはいいことです。当時は産休・育休も取れる日数が限られ、長時間労働が当たり前でした。今は、ワークライフバランスが格段に良くなったと思います。家庭の一員でありながら、女性が経営者でいられるような道を切り開いてきました。ここから、さらに良くなっていくことを願っています。

この人生を一緒に歩んでくれるパートナーの存在も大きいです。もちろんお互い様ですが。だって、私のパートナーも、キャリアの半ばで私と出会わなければ、父親になることも、素晴らしいキャリアを歩むこともできなかったでしょうから。

でも初期のころの私にとっては、彼のサポートと、これからの旅へのワクワク感にとても助けられました。「なんで5時に帰ってこないんだ」といつも不満げな人と一緒に暮らしていたら、きっと大変だったと思います。早い段階では、特に理解とサポートが必要なのです。

──「ガラスの天井」や給与格差といった問題があり、ビジネスの世界は今も男性優位です。特にマネジメント層には女性が圧倒的に足りていません。著しく不利な条件のなか、望むようなキャリアを得られないかもしれない、という不安はあったりしませんでしたか?

ノッテボーン:むしろ、その逆でした。他の誰とも同じくらい自分もそこにいる資格があると信じていたので、自分の力を証明したいと思っていました。被害者意識はなかったですね。どちらかといえば、戦士のようなメンタリティだったと思います。
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文 = 井関庸介

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