関西
中小企業アトツギのディープテック化
スタートアップのディープテック支援は、その分野の経営者不足や資金調達などに課題がある。一方、中小企業のアトツギには、事業化に向けた強い動機づけや、社長になるまでの時間的余裕、さらに技術実装のための現場があることなどの優位性がある。日本のディープテックは中小企業の後継者が担うというトレンドに。
山野千枝|ベンチャー型事業承継代表理事
万博に向けたものづくりの「まつり」化
大阪では行政や民間企業が地域一体型で取り組むオープンファクトリーを軸としたコトづくりが加速している。2025年大阪・関西万博を契機に、日本のものづくりの再認知が進むと考える。伊勢神宮の「式年遷宮」のように、まつりごとをきっかけに、次世代にものづくりの技術や思いを語り継ぎ、地域のストーリーを世界に発信したい。
松尾泰貴|友安製作所執行役員
終活をサポートする神社の「葬い」事業
新しい葬いのかたちとして「終活」事業に取り組み始めた、北九州市の和布刈神社に注目している。生前整理、相続、遺言、葬儀、散骨、納骨、供養などの終活をすべて神社がサポート。「海洋散骨」や神道式の葬儀「神前葬」、思いのこもった遺品を供養する「思物供養」、さらに「空き家供養」を行っている。
中川政七|中川政七商店代表取締役会長
耕作放棄地を活用した新ビジネス
食糧の安定供給を図るため、農地は重要。一方で、農業者の高齢化や担い手不足などで生じる耕作放棄地は、全国共通の課題。京丹後市のマルキ建設では、耕作放棄地に公共残土を入れて稲作を行い、米粉を製造する。その社会性の高い事業モデルが評価され、第4回「アトツギ甲子園」で最優秀賞に選ばれた。
長井伸晃|神戸市企画調整局調整課課長
アートで魅力を引き出すオープンファクトリー
瀬戸内海で日本の製造業の魅力をアートの力で引き出した、体験型オープンファクトリーが2026年から多数開催される。既存のさまざまな業種の工場や、産業遺構などを取り上げ、アートの配置や見学の動線をキュレーターがプロデュース。ものづくりのスケール、精密さ、美しさ、ライフサイクル産業への転換の姿などを演出する。
長島 聡|きづきアーキテクト代表取締役
社員の幸せを中心に 愛される「中小企業」
社員の幸せを中心に据えた「人的資本経営」を実践する中小企業が広がっている。人が集まり、育つ中小企業は、組織文化や一人ひとりの価値観の醸成、さらに人としての成長も投資と捉え、社員と会社が互いに「選び選ばれる」関係性に。そんな企業を発信する「BE THE LOVED COMPANY PROJECT」を展開中。
沼本和輝|経済産業省近畿経済産業局中小企業政策調査課調査分析係長
アトツギの力を引き出す「中小企業の嫁」
日本企業の99%を占める中小企業事業承継の肝として注目される、いわゆるアトツギ。+αでパワーを発揮する人材としてその“嫁”がもっと世に出てくる時代が来たと感じている。女性のキャリアのひとつとして「中小企業の嫁」という選択肢は、実は面白く自己実現の近道でもあると考えている。
藤澤佳織|中小企業の嫁/藤沢製本代表取締役
京都大学発フードテック企業
京都大学発のフードテック企業「リージョナルフィッシュ」は、日本の水産資源の価値化を推進する。水産養殖の技術革新が求められるなかで、欠失型ゲノム編集というイノベーティブなテクノロジー導入を事業の軸にしながらも、未来の地球環境に配慮した企業スタンスや、常に裨益者を意識した事業構築のあり方に刺激をもらっている。
野口拓勇|下鴨茶寮取締役副社長
「特定小型原付」を活用 パーソナルモビリティ時代
「HELLO CYCLING」で2024年から特定小型原付のシェアリングサービスを開始。
2023年7月に、16歳以上なら免許不要で運転ができる新たな原付区分「特定小型原付」が施行された。長さ190cm幅60cmに収まれば形状は問わない。この車両区分を活用して、今後はパーソナルモビリティのあり方が変化する。シニアがシニアカーに乗る時代は終わり、多様なモビリティ社会で移動の自由が確保されるだろう。
鳴海禎造|glafit代表取締役CEO