食&酒

2024.06.04 11:15

麻布台の人気ピザレストランが「ただならぬ」メニューブックをつくるワケ

そして、これは個人的な好みだが、シェフが熱く語りかけてくるのではなく、メニューという形なのが良い。押し付けがましくもなく「興味があればぜひ知ってもらいたい」というスタンスが感じ取れる。

特に美味しかったのが、海の生態系を守るための海藻養殖に取り組むスタートアップ、シーベジタブルのすじ青のりがのったピザだ。ライフスタンスは大切だが、プロダクトが疎かになっていては意味がない。ピザの味わいも、確かなものだった。

この時に食べた「すじ青海苔とおかひじき あさり」のピザ、実はPARaDEが主催するイベント「Lifestance EXPO 2024」(6月14-16日開催)で味わうことができる(Pizza 4P’s Tokyoの出店は15、16日のみ)。4P'sの担当の方がたまたま昨年のEXPOに参加しており、趣旨に賛同して今回のご縁に繋がった。

日本限定のピザ「すじ青海苔とおかひじき あさり」

日本限定のピザ「すじ青海苔とおかひじき あさり」

生産者の顔を載せているメニューは数多あれど、どれもピンと来ずあまり記憶に残っていない。それは「生産者を元気にしよう」とか「食の安全性の追求」とか、世の中の流れに合わせてやっているだけだからだと思う。

それは昨今のビジョン・ミッション・パーパスブームとも通じるところがある。言葉はあるけれど本気の行動がない。取ってつけたような行動はあっても、ミッションを達成しようとする本気さが見られない……。

Pizza4P's Tokyoのメニューブックからは、ビジョン達成のためにあらゆる手段を講じていることが伝わってくる。食材の生産者だけでなく関わったすべての人を大切にする、生産者の肉声が聴ける音声コンテンツや、食と本気で向き合うための「食べる瞑想」の音声プログラムまで用意してある。製本もスタッフが手作業で仕上げているそうだ。まさに覚悟と本気の行動が、メニューブックに息づいている。

雑誌という形式、生産者の紹介、音声コンテンツ…どれも目新しいものではない。ただライフスタンスをとことん表現することで、まったく新しい価値を見出している。

構成=堤 美佳子

ForbesBrandVoice

人気記事