経済

2024.04.15

なぜあのタクシー会社のレシートは短いのか?

PARaDE代表の中川淳が、企業やブランドの何気ない“モノ・コト”から感じられるライフスタンスを読み解く本連載。前回は「ライフスタンスとはなにか?」を解説した。今回のテーマは「日本交通のレシート」。中川がライフスタンスを感じたというタクシーのレシートに隠されたメッセージとは。



東京での移動はタクシーを使うことが多く、一昔前までは乗るたびに領収書をもらっていた。何気なくもらっていたが、ある時日本交通の領収書が他社のものよりも短いことに気づいた。記憶の限り最短は2.5㎝くらいだったと思う。

たかがレシートである。しかしこういう細部にこそ企業のライフスタンスが現れると思う。企業側が見られることを意識している部分は、どの企業もちゃんと体裁を整えている。でも、そうでないところ(ある意味で油断しているところ)にこそ本質が見えてくる。

レシートの短さから何が見えるのだろうか?
そもそも短いと何がいいのだろうか?

資源の無駄遣いがない、お客さんの財布でかさばらない。でもたぶんいちばんの理由は、運転手さんがレシートロールを交換する頻度が少なくなることではないだろうか。少しでも運転手さんの雑務(売上に直接は繋がらない行為)を減らして、売り上げアップを追求する。恐らくそういった意図で短くなったのだと想像する。

そんなタクシーの領収書も、最近はもらうことがめっきり減った。GOというタクシー配車アプリのおかげである。GO Payというサービスを使うと領収書はPDFデータで出せるので、車内でもらう必要がなくなった。もちろん決済も事前に登録しているカードで済ませているので、現金を出す必要もない。このサービスも元をたどれば日本交通に端を発している。

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私はタクシー業界にまったく詳しくない。しかし年に200回以上乗るヘビーユーザーではある。たかがレシートの長さではあるが、その短さと日本交通が変革著しいモビリティ分野でリーダーシップを発揮していることは、間違いなくつながっていると勝手に思っている。
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文=中川淳 構成=国府田淳

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