欧州

2024.05.21 09:30

ウクライナ、単一弾頭の新型ATACMSも入手か クリミアの掃海艇撃沈が示唆

ロシア海軍の掃海艇「コブロベツ」。2017年6月、ウクライナ南部クリミア・セバストポリ港(volkova natalia / Shutterstock.com)

ロシア海軍の掃海艇「コブロベツ」。2017年6月、ウクライナ南部クリミア・セバストポリ港(volkova natalia / Shutterstock.com)

ウクライナはロシア海軍黒海艦隊の軍艦をまた1隻撃沈した。

ウクライナ軍参謀本部やウクライナ海軍によると、18日から19日にかけての夜、前線から南へ240kmほど離れたロシア占領下クリミアのセバストポリ港を攻撃し、黒海艦隊の掃海艇「コブロベツ」を撃沈した。通信アプリ「テレグラム」のロシア側の複数のチャンネルもこの損失を認めている。

「ロシア黒海艦隊にとって再び悪い日になった」。ウクライナ国防省はそう皮肉っている

ロシアがウクライナに対する戦争を拡大して以来、2年3カ月にわたる激しい戦闘で、ウクライナ側は戦争拡大前におよそ35隻あった黒海艦隊の大型艦のうち、十数隻を撃沈したり大破させたりしてきた。したがって、黒海艦隊に所属する掃海艇2隻の一隻で全長61mのコブロベツの損失自体は、もはやそれほど注目すべきことではない。

むしろ注目すべきは、ウクライナ側がコブロベツを撃沈した方法である。ロシア側の情報源によれば、今回の攻撃はATACMS弾道ミサイル2発によるものだった。

発射重量1500kg前後の地上発射型ミサイルであるATACMSは、地上の目標に対する攻撃に使われるのが普通だ。通常、艦艇に対する攻撃に使われないのには理由がある。基本的に慣性誘導されるATACMSの命中精度は、多くの情報源によると目標から約9m以内とされ、大型弾頭1発で確実に艦艇を沈めるには不十分なのだ。

ウクライナはこれまでに、米国からATACMSを少なくとも2回にわたって合計で120発以上受け取っている。それには射程165kmのM39型のほか、射程300kmのM-39A1型が含まれていた。両タイプは空中で炸裂して擲弾(てきだん)サイズの子弾を数百個〜1000個近くばらまくので、命中精度の低さはある程度相殺される。

ただ、M39やM-39A1で艦艇を攻撃した場合、飛散する子弾は艦艇の上面に損害を与えることはできても、艦艇を沈めることはおそらく無理だろう。沈めるには艦体(ハル)を破壊する必要があるからだ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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