ソニー、『HELLDIVERS 2』のPSN連携要件を撤回 ゲーマーの猛反発で

ソニーは今後、すべてのオンラインマルチプレイゲームにおいてPSNへのリンクを義務化する意向だったようだ。他の多くのゲームでこれが行われていることを考えれば、理にかなった方針にも思える。しかし今回の場合は、問題が2つあった。1つは、PSNリンクの義務化は『HELLDIVERS 2』の発売時に技術的な問題によって先送りされたきり、今まで一度も言及されていなかったこと。もう1つは、PSNアカウントを作成できない地域が177あること。最終的にPSNリンク強制を計画していたのにもかかわらず、いったいなぜ将来的にゲームをプレイできなくなる地域に販売したのだろうか。

ソニーは何らかの半端な解決策を用意していたのかもしれない。もし「これらの国ではPSNアカウントが不要なので、気にしないでください」というものだったとしたら、PSNアカウントへのリンクが必須となる国のユーザーは「リンクがどうしても必要ではないのなら、なぜ私たちには強制されるのか?」と反発していたことだろう。

ソニー側の説明では、PSN接続はアカウント保護のために必要だとされていた。だが、同作はPvE(コンピューターが操作する敵との戦闘)を楽しむゲームであり、PvP(プレイヤー同士の対戦)タイトルと比べ、プレイヤーの不正行為はそこまで問題とはならない。実際にそれが理由だったのかもしれないが、ソニーがこの方針を強行したことで、その裏にはPSN会員数の増加やSteamプレイヤーのデータ収集といった魂胆があるのではという臆測を生んだ。

ソニーによる方針撤回を勝ち取ったプレイヤーたちは、Steamで大量に投稿していた低評価レビューを、高評価に変えるだろうか? 低評価レビューの目的は、ソニーに対する意思表明であり、Arrowheadに対するものではなかった。ゲーム自体の質は何も変わっていない。現在、高評価レビューの数は実際に急増しているが、総合評価がかつての水準に戻る可能性は低い。最も大きな責任を負うのがソニーなのかどうかはわからないが(Arrowhead自身も、自分たちの対応が完璧ではなかったことを認めている)、いずれにせよ信頼はいくぶん失われてしまった。

そもそもこうした事態になったのは残念だ。ソニーは、何カ月も完全に無視してきたアカウントリンクを強制して、何の代替案も提示せずに177地域で販売を停止すればどうなるのかを予想すべきだった。ソニーにとっては大失敗となったが、1週間足らずで方針撤回に至ったことがせめてもの救いだ。ただ、このような事態は十分防げたはずだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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