ソニーは何らかの半端な解決策を用意していたのかもしれない。もし「これらの国ではPSNアカウントが不要なので、気にしないでください」というものだったとしたら、PSNアカウントへのリンクが必須となる国のユーザーは「リンクがどうしても必要ではないのなら、なぜ私たちには強制されるのか?」と反発していたことだろう。
ソニー側の説明では、PSN接続はアカウント保護のために必要だとされていた。だが、同作はPvE(コンピューターが操作する敵との戦闘)を楽しむゲームであり、PvP(プレイヤー同士の対戦)タイトルと比べ、プレイヤーの不正行為はそこまで問題とはならない。実際にそれが理由だったのかもしれないが、ソニーがこの方針を強行したことで、その裏にはPSN会員数の増加やSteamプレイヤーのデータ収集といった魂胆があるのではという臆測を生んだ。
ソニーによる方針撤回を勝ち取ったプレイヤーたちは、Steamで大量に投稿していた低評価レビューを、高評価に変えるだろうか? 低評価レビューの目的は、ソニーに対する意思表明であり、Arrowheadに対するものではなかった。ゲーム自体の質は何も変わっていない。現在、高評価レビューの数は実際に急増しているが、総合評価がかつての水準に戻る可能性は低い。最も大きな責任を負うのがソニーなのかどうかはわからないが(Arrowhead自身も、自分たちの対応が完璧ではなかったことを認めている)、いずれにせよ信頼はいくぶん失われてしまった。
そもそもこうした事態になったのは残念だ。ソニーは、何カ月も完全に無視してきたアカウントリンクを強制して、何の代替案も提示せずに177地域で販売を停止すればどうなるのかを予想すべきだった。ソニーにとっては大失敗となったが、1週間足らずで方針撤回に至ったことがせめてもの救いだ。ただ、このような事態は十分防げたはずだ。
(forbes.com 原文)