ヘルスケア

2024.04.17 11:30

高齢者の肺がん予防、禁煙よりも「早期発見」のほうが効果的

米国では、米予防医学専門委員会が指針を発表し、肺がんの症状がみられない高リスク群に対して、検診を受けるよう推奨している。この場合の高リスク群に含まれるのは、年齢が50歳から80歳、20パックイヤー(パックイヤーは喫煙したたばこの量を測定する方法。20パックイヤーは1日1箱を20年間、あるいは1日2箱を10年間吸った場合に相当)以上で、現在も喫煙中か、15年以内に喫煙をやめた人だ。

米国で実施された研究では、低線量CT検診によって肺がんを早期発見することで、高リスク群の肺がんによる死亡率が20%以上減少することが示されている。

60歳以上は、肺がんリスクが最も高い。その一因は、10代でタバコを吸い始めた人が多いことだ。また、フォーブスが2024年2月に報じたように、肺がん発症の背景には社会経済的な事情もあり、それが低所得者層のリスクを高めている。低所得者層は、喫煙者の割合が他の所得者層よりも高く、健康状態も得てして悪いからだ。

オランダ国立総合がんセンター(IKNL)の臨床医学研究者によると、同国では、最低所得者層の男性は、肺がん発症の確率が2倍から3倍も高い。

オランダでは現在のところ、肺がんに関連する症状が発現している人に対してのみ、CT検診が行われている。

ファン=デル=アールストは、オランダ政府が、大腸がんならびに子宮頸がんと同様に、肺がんの高リスク群を対象に集団検診を実施することを希望している。その上で、一定の年齢以上で、喫煙者か元喫煙者というリスク因子のある人に対して、前がん病変の検査を受けるよう呼びかけるようにすればいいという。そうした人々に対しては、2年に1度のCT検診を推奨している。

オランダ保健・福祉・スポーツ省への助言を法的業務とする独立科学諮問機関、オランダ健康評議会は、定期的な肺がん検診をオランダで導入するかについて、近々助言を行うべく準備を進めている。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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