2024年フォーブス世界長者番付、インド人富豪が過去最多200人に

世界番付では9位になったムケシュ・アンバニ(Indranil Aditya/NurPhoto via Getty Images)

フォーブスが発表した最新の「世界長者番付」で、インドが新たな記録を打ち立てた。2023年は169人だった同国出身のビリオネア(保有資産10億ドル、約1520億円以上)は今回、これまでで最多となる200人に増加した。

アジア出身の富豪で初の「センティビリオネア(保有資産1000億ドル超)」を生み出したインドで最も裕福な10人が保有する資産の合計は、過去最高額の9540億ドル(約145兆円)となっている(前年の6750億ドルから41%増加)。

予定されていた総選挙の実施が近づき、ナレンドラ・モディ首相の3期目が実現するとの見方が強まるインドでは、このところ株式市場が「熱狂」の様相を見せている。長者番付に入るインド人富豪を増やしたのは、そうした株価の大幅な上昇だ。番付入りしたインドのビリオネアの3分の2以上が、この1年で大きく資産を増やしており、そのうち12人の資産は、2倍以上に膨らんでいる。

前年と比べて最も大幅に資産が増えたのは、新興財閥アダニ・グループのトップ、ゴータム・アダニだった。保有資産は前年からおよそ368億ドル増え「インド第2位の富豪」の地位を固めた。

また、インド最大のコングロマリット、リライアンス・インダストリーズを率いるムケシュ・アンバニ(世界番付では9位)の資産は、自社の株価の上昇により、前年の830億ドルから1160億ドルに急増した。

一方、2024年版の長者番付には、インドのビリオネア25人が初めて名前を連ねている。心臓外科医からヘルスケア分野の起業家に転じ、インド北部でMedanta(メダンタ)病院チェーンを展開・運営するナレシュ・トレハンや、2023年8月に世界で初めて月の南極に着陸にしたインドの無人月面探査機に電子機器を供給したKaynes Technology(ケインズ・テクノロジー)の創業者、ラメシュ・クンヒカンナンなどが含まれている。

ただ、わずか2人ながら、ランキングの上位10人の中には、前年より資産を減らした人もいた。新型コロナウイルスのワクチン生産で資産が急増していたSerum Institute of India(インド血清研究所)のCEO、サイラス・プーナワラがその1人だ(前年から213億ドル減)。

もう1人は、欧州の鉄鋼最大手、アルセロール・ミタルを率いてきたラクシュミ・ミタル会長。自社の株価の下落により、2005年には世界3位の富豪だったミタルの順位は、前回の5位から10位に下落している。
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編集=木内涼子

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