動画の公表を境に、ミームはおもしろくなくなり、果てしなく続くかに思われた憶測は同情と罪悪感に変わった。
一部のコラムニストは、集団的な陰謀論騒ぎを引き起こした大衆を非難した。英国のタブロイド紙や英王室のファンらは、ヘンリー王子とメーガン妃を批判するという「お気に入りの娯楽」に立ち戻った。
不器用に加工された(ウィリアム皇太子が撮影したとされる)写真を公開し、改変を加えた責任をキャサリン妃に負わせるという、ケンジントン宮殿が下した広報上の判断の奇妙さを強く指摘するコメンテーターもいた。
「ケイトゲート」の行き過ぎた騒動については、ニュースとミーム、陰謀論が融合し、混ぜ合わされたペースト状のコンテンツと化している現在のインターネットを反映していると見る向きも多い。
英国政府はこの現象をロシアと中国のトロール・ファーム(偽情報や陰謀説をSNSで拡散させる集団や企業)のせいにしているが「ケイトゲート」の経緯と拡散状況を見ると、むしろ権威ある者に恥をかかせたいという反体制的ないたずら心に基づく衝動が火に油を注いでいたように思われる。
英語圏のネットユーザーにとってみれば、英王室を物笑いの種にするのに、わざわざ外国勢力に騙される必要はないからだ。常日ごろ多大な敬意と尊敬を(特に英国メディアから)集めている王室を、容赦なく嘲笑できるということ自体が大きな誘因となった。