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2024.03.29 09:00

キャサリン妃めぐる陰謀論、なぜ拡散? 発端と暴走の経緯 生成AIも一役

英王室のキャサリン皇太子妃。2023年12月5日、ロンドンにて(Chris Jackson/Getty Images)

ミームを陰謀論が圧倒

「ケイトゲート」のミームはやがて、楽しめるようなものではなくなった。
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ウィンザーの農場直売所で撮影された解像度の低い皇太子夫妻の動画が公開されるまでに、ソーシャルメディアユーザーらは欺瞞の手がかりや兆候を粗探ししていた。そしてモザイクがかかったような粗い映像は、疑惑に拍車をかけた。

キャサリン妃ががんと診断されたことを公表した動画はくっきりと撮影され、BBCによって検証もされている。しかし、陰謀論者たちはこの映像ですら細部をあげつらいだした。たとえば、モーションブラーによってキャサリン妃の指輪が「消えた」ように見える瞬間などだ。この動画はAI生成されたものだと断じる者さえいる。

生成AIがすべてを悪化させた

生成AIは「ケイトゲート」の陰謀論を増幅させる上で大きな役割を果たし、今も陰謀論がくすぶり続ける主な要因となっている。

農場を訪れた皇太子夫妻のぼやけた動画が公開されるや、コメンテーターたちはAIを使って「モザイクを消した」スクリーンショットを公開し、その画像はX(旧ツイッター)とTikTokで拡散された。

AIの「ぼかし除去」機能は非常に不正確だ。一度失われた画像データは復元できないため、生成AIは自動生成能力で欠けたデータを補うことで粗い画像の「ぼかし」を「除去」する。復元ではなく、置き換えなのだ。
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したがって、AIによって「ぼかし除去」された2枚の画像の顔はどちらもキャサリン妃に似ていなかった。これはAIの不正確さを浮き彫りする結果だが「#KateIsMissing」のシナリオを覆す証拠を否定する情報を大歓迎し、技術の限界に気づいていない陰謀論者やコメンテーターらは、そこには頓着しなかった。

画像・動画作成における生成AIの台頭は、陰謀論者に恩恵をもたらすことが証明されてしまった。非常に鮮明な動画でさえも、クローンや影武者といった奇妙で手の込んだ説明をひねり出すことなくフェイク扱いできるようになったのだ。

ケンジントン宮殿が犯した歴史に残る広報の失策は、陰謀論が氾濫する今日のメディア状況と相まって「ケイトゲート」の制御不能な暴走を生んだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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