ブタからヒトへの腎臓移植を実現した米スタートアップ、心臓と肝臓に挑戦

ブタの腎臓を患者に移植する医師ら(マサチューセッツ総合病院提供)

米マサチューセッツ総合病院は3月21日、世界で初めて生きた人間の患者にブタの腎臓を移植したと発表した。同病院の移植ディレクター、ジョレン・マスデンは記者会見で、科学におけるこの大きな進歩は臓器の提供を待ちながら毎日死んでいく多くの人にとって希望となると述べた。「臓器不足の問題を解決するために、ブタの臓器で補うことが移植を研究する者の夢であり、崇高な目標だ」とも語った。
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もちろんこれは、畜産農場に行けばいいだけという単純な話ではない。移植に使用された腎臓を用意したのは、マサチューセッツ州を拠点とするバイオテックのスタートアップeGenesis(イージェネシス)だ。同社は、ヒトに安全に移植できるよう、遺伝子を改変したブタの臓器を10年近く研究している。

だが、マイク・カーティス最高経営責任者(CEO)は今回の画期的な移植は始まりにすぎないとフォーブスに語った。これまでに2億9100万ドル(約440億円)の資金を調達している同社は今後2年以内に腎臓、肝臓、心臓の移植のための遺伝子改変の技術の臨床試験を行い、調査会社グランドビューリサーチが約150億ドル(約2兆2680億円)規模になると推定する市場において革新的な存在になることを目指している。

「当社は、患者を助けることができる技術を実際に持っていることを示した」「要するに科学の新時代への突入、治療の選択肢がほとんどない人々を助ける能力を意味する」(カーティス)。

米国では現在、10万人以上が臓器移植を待っているが、提供される臓器の数が限られているため、登録から1年以内に移植を受けられるのはその半数以下だ。何十年もの間、科学者たちは患者を助けるのに動物の臓器が役立つかもしれないと考えてきた。たとえそれが人間の臓器の移植を受けられるまで患者を永らえさせる方法にすぎないとしてもだ。ブタは成長が早く、臓器の大きさや機能が人間のものと似ているため、理想的な臓器ドナー候補だ。
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翻訳=溝口慈子

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