全世界で進む「高齢化」 各国で対策を共有する動きも活発に

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今や、世界中のほぼすべての国が高齢化に直面している。国連によると、世界人口のうち65歳以上の人が占める割合は、2022年には10%だったが、2050年には16%にまで上昇するという。また、2020年の時点で、60歳以上の人の数は、5歳未満の子どもの数を上回っていた

こうした人口動態上の変化は、社会・経済の成り立ちにも影響を与えるとみられるが、各国は、人口高齢化にまつわる問題について、いまだに自国内にしか目を向けていない。しかし高齢化は、一国の問題にとどまらない。さまざまな文化や個人の体験、政策の枠組みを横断する問題だ。したがって、社会相互が情報や洞察を交換し、新たなパートナーシップモデルを構築し、関係者のより積極的な関与を促せば、それぞれにメリットがもたらされるはずだ。

AARP(旧称、全米退職者協会)が2023年5月に発表した「International Health Attitudes survey(国際健康実態調査)」は、50歳以上の米国民を対象に、他の国々で実行されているベストプラクティスや解決法を学ぶことに、どの程度の興味があるかを調査した。

この調査によると「健康的に年齢を重ねる方法について、米国以外の国から知見を得たい」と回答した人の割合は、全体の82%に達した。米国以外の国の高齢化へのアプローチを知り、健康で長生きするための方策を見極めることに大きな関心があることがわかったと、調査では結論づけている。

一例として、我々の社会に疫病のように広がる「孤独」について考えてみよう。これほど多くの人が1人暮らしをしている今の状況は、専門家が「歴史的にまったく前例がない」と指摘するほどだ。そんななかで英国はいち早く対策に乗り出し、2018年には、世界で初めて「孤独問題担当国務大臣」を設けた。日本もこれに続き、2021年には、同国初となる「孤独・孤立対策担当大臣」のポストを設け、社会的孤立を防止するための施策を実行している。

私たちはグローバルな世界で生きている。そして一部の国は、多様性やさまざまな文化の受容によって、より豊かな社会を目指している。AARPでグローバル高齢化問題を担当するディレクターで、認知神経科学者としての教育を受けたヴィジェット・アイアンガー博士によると、AARPは数年前、『フォーリン・ポリシー(FP)』の調査分析部門「FPアナリティクス」とナレッジパートナーシップを結び「高齢化対策アクションプラン・データベース(DAPA、Database of Action Plans on Aging)」を設置したという。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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