運転体験、価格、そして結論
ブランドの品質やイメージに加え、人々がBMWのクルマを購入する理由の1つは、たとえSUVであっても、それがドライバーズカーだからだ。その点は安心してよい。筆者が試乗したxDrive30仕様のiX2は、この伝統を強く受け継いでいる。着座位置が高くても、依然としてA級道路では夢中になって飛ばすことができ、大いに自信を持って高速コーナーを走り抜けることができる。このiX2のハンドリングは「アダプティブMサスペンション」のアシストを受け、路面の不整を巧みにいなし、コーナリング中もフラットな姿勢を保つ。eDrive20の動力性能は比較的平凡だ。停止状態から100km/hまで8.6秒を要する。しかし、私が運転したxDrive30はもっとずっと速い。0-100km/hまでわずか5.6秒しかかからない。この加速力をフルに感じるためには「ブースト」パドルを引いて短時間のみの爆発的なフルパワーを発揮する必要があるが、信号待ちからのダッシュやA級道路の追い越し時には十分だ。xDrive30は、ファミリー向けSUVを所有することにもう少し運転の楽しさを付加するという、X2の発売当初からの主な意図を成し遂げてる。
内燃エンジンを搭載した同等のモデルがラインナップされている非常に多くのEVと同様、iX2もバッテリー電動パワートレインの金額が車両価格に上乗せされている。英国では、マイルドハイブリットのX2が4万515ポンド(約780万円)からという価格で買えるのに対し、iX2 eDrive20は25%以上も高い5万1615ポンド(約990万円)となる。iX2 xDrive30はさらに高価な5万7445ポンドだ(日本ではX2 xDrive20i M Sportが628万円、iX2 xDrive30 M Sportが742万円)。
このクラスのクルマはすべて、テスラの最も売れているモデルYと比較しなければならないだろう。モデルYのベーシックな後輪駆動バージョンは、iX2 eDrive20と比べると、航続距離が同等でより速く、だいぶ安い。モデルYロングレンジはかなり速く、航続距離も長くて、少しだけ高いが、さらに高価なxDrive30より加速性能で勝る。
BMW iX2は上質な電気自動車であり、すばらしいインテリアとBMWらしい走りの特質を備えている。乗員と荷物のための実用的な空間も確保されている。マイルドハイブリッドのX2のほうが価格は安いが、BMWの名声と品質を考慮すれば、EVのiX2がおそろしく高価というわけでもない。だが、このセグメントには多くの競合車があり、今や多くの自動車メーカーが70kWh以上のバッテリーを採用している。それらの中でiX2が高い競争力を示すためには、より容量の大きなバッテリーが必要だろう。
(forbes.com 原文)