岩崎:解釈によりますよね。同じ事象を見たときに面白いって思うか、そうでないかは個人の問題。解釈を自分でハンドリングする意識をもつと、自分の目の前で建設工事があるときに、「うるさいなあ」じゃなくて「こんなふうに工事するんだ」と思える。働く幸せも同じことかもしれません。
堀越:解釈って実はすごく高度なスキルなんですよ。おそらく自分でそれができる人は外から心配する必要はなくて、問題は自分の意志もやりたいこともない人がどうしたらよいのか。僕は、問いをもつことが大事だと思う。実は、子どもってすごく問いを発しているんです。特に小学校に入る前くらいだと、何でもかんでも聞いてくるじゃないですか。ただ、人は成長過程で社会化されていくので、そんなくだらないことばかり考えていると受験や就活に失敗するぞって周りに言われて。
麻布:心を刈り取られていくと。
堀越:そう。大事なのは、子どものときにもっていた、これって何なんだろう、という自分のなかの好奇心をたぐり寄せていくこと。問いって物の見方のそのもので、それがあるから解釈ができる。そして、答えがないことも面白い。幸せに正解なんてないです。でも、90歳のおじいさんや、40歳の社長、5歳の子どもとも一緒に考え合える。自分にとって働く幸せはこうだと思っていたけど、実は違うかも、みたいな。そうすると自分にとってのあるべき姿が反作用的に見えてくる。(続きはForbes JAPAN 2024年5月号で)。