欧州

2024.03.06 09:30

ウクライナ、無人艇でロシア黒海艦隊の哨戒艦撃沈 月1の「恒例行事」に

現在、ロシアの造船所は大型潜水艦の建造はどうにかできているものの、排水量数千t以上の比較的大型の水上艦の建造には苦慮している。それでも、ロシアはいずれ、セルゲイ・コトフに代わる22160型哨戒艦を建造すること自体はできるかもしれない。しかし、それを黒海で就役させることはかなわないだろう。

黒海に出入りするための唯一の大きな水路であるボスポラス海峡は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコの管理下にあり、トルコは、戦時中は味方側であれ敵側であれ、軍艦がボスポラス海峡を通過して黒海に入ることを認めないからだ。

確かに、ウクライナ軍の防御拠点だった東部ドネツク州アウジーウカの西方では、ロシア軍が多大な損害を出しながらも徐々に前進しているかもしれない。だが、そこから500kmほど離れたクリミアではロシア軍が負け続けている。しかも、手ひどい負け方だ。

黒海艦隊はこのところ、だいたい月に1隻のペースで艦艇を失っている。そのため大半の艦艇を、最も攻撃を受けやすいクリミアの港ばかりか、ロシア南部ノボロシスクからも引き揚げざるを得なくなっている。

ごく少数の艦艇は、巡航ミサイルを発射したり、ウクライナ南部のロシア軍守備隊に物資を補給したりするために、恐れ知らずにも黒海西部をなお航行している。しかし各艦艇はその際、ウクライナ側のミサイルや無人艇などによる厳しい攻撃をくぐり抜けなくてはならない。

セルゲイ・コトフの乗組員が身をもって知ったように、それはきわめて危険だ。ウクライナの無人艇の操縦士らは、黒海艦隊の艦艇を12隻程度沈めたと指折り数えているだろう。あと36隻ほど撃沈すれば、ウクライナ海軍と同じように黒海艦隊の大型艦はゼロになる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事