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2024.03.05 09:00

ドローン軍拡競争 新たな世界大戦の引き金となる恐れも

ドローンは、技術先進国であるグローバルノース(北半球)が現在持ち得ている優位性を打ち壊しつつあり、その技術をめぐる軍拡競争にはすでに拍車がかかっている。これは技術的に遅れている国でも投資可能なパラダイムシフトであり、軍事調達におけるリセットポイントである。

21世紀のドローン競争は、おそらく第一次世界大戦前の英独海軍による軍拡競争の中で登場した英戦艦ドレッドノートが巻き起こした「弩級戦艦建造ブーム」と似たものになるだろう。

ドローンの戦術的有用性と防衛の難しさは、危うい戦略環境を作り出している。攻撃側が防御側に対して決定的優位に立つ作戦戦域では、攻撃的な衝動が戦場で報われるため、それが戦略的成功に不可欠となるかもしれない。外交を続けていれば徐々に消えていくはずの「安上がりな勝利への誘惑」により、紛争はこれまでよりずっと起こりやすくなる。

米国は現状維持型の大国である。しかし国際平和、自由貿易、米国の国益は、比較的安価でどこにでも存在し、急速な生産拡大に対応できるドローンとドローン防衛技術にかかっている。今こそ、より機敏な戦略を採用してコストを削減し、調達期間を短縮する時だ。そうすれば米国と米同盟国に不利な消耗戦を避けられ、高額なシステムへの依存も減らせる。

世界の海運と航行の自由を守る目的でのドローン活用も広がっている。海運業界と協力し、妨害装置やドローン迎撃システムを提供すれば、米海軍の任務量を最小限に抑えられるだろう。

つまり、創造性を発揮するべき時がきたということだ。ほかの国々も、公平な分担を引き受けなければならない。たとえば欧州は、防衛産業の基盤が軍需生産に不十分で、新たなドローン競争にも遅れをとっており、防衛費を増額する必要がある。

もし西側諸国が防衛と抑止の実用的な手段に投資しなければ、私たちは米ジャーナリスト・作家のバーバラ・タックマンが第一次世界大戦へと転がり落ちていく世界を描いたノンフィクション『八月の砲声』の再現を見ることとなり、無自覚なまま新たな世界大戦へと突入してしまうかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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