中国の深圳に本社を置くDJIの製品は、世界のコンシューマ向けドローン市場の70%以上を占めると推定されており、特に、小さく折りたためる手頃な価格のMavicシリーズは、空撮のための優れたプロダクトとして知られている。Mavicsは戦場での偵察機としても優れており、数キロ離れたターゲットを発見するためのオペレーションでも威力を発揮する。
さらに、小型ドローンは爆撃機としても使われており、ロシアのVOG-17や米国のM433といった手榴弾を投下して、塹壕や車両を破壊する際に使用されている。DJIはドローンの軍事利用を非難しており、2022年4月にはウクライナとロシアの両国で製品の販売を禁止した。
しかし、ウクライナにおいてDJIのMavicは、小型ドローンの代名詞となっており、2023年10月にウクライナのデニス・シュミハル首相は、同国がDJIが製造したMavicの60%を購入したと述べていた。
DJIのドローンは安価で操縦がしやすいことで知られており、FlyCart 30も同様の製品だと考えられている。
低価格ながら重量物の運搬に対応
FlyCart30は、Mavicがコンシューマ市場を支配したように、配達用ドローンの世界を支配することを目指している。このドローンは、最大30kgの荷物を最長16km先まで輸送することができ、あらゆる地形や全天候での飛行に対応している。また緊急時には、内蔵パラシュートを低高度で開くことで、ドローンを安全に着陸させることが可能な斬新な設計となっている。さらに、制御範囲は最大20kmとされているが、操縦者がワンクリックで他の操縦者にコントロール権限を移譲できる機能も搭載している。FlyCart30の最高速度は時速72kmとされている。さらに、昼夜を問わず利用できるレーダーと障害物回避機能を搭載している。このドローンのグローバルでの販売価格はまだ明かされていないが、中国では約1万7000ドル(約250万円)で販売されている。
アルファベットやアマゾン、ウォルマートなどは、何年も前から配達用ドローンの開発に取り組んできた。しかし、この分野でトップのエンジニアリングと生産能力を誇るDJIは、それらの競合のすべての製品を打ち負かすかもしれない。