元グーグルCEO、軍事ドローンの開発プロジェクトを密かに推進

Shutterstock

グーグルの元最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミットは、新たな防衛技術の開発を密かに計画している。この取り組みに詳しい4人の情報筋がフォーブスに明らかにしたところによると、それは軍事ステルスドローン(無人機)のプロジェクトであるという。このプロジェクトの存在はこれまでメディアに報じられておらず、まだ公には始動していない。

2人の情報筋は、この秘密のプロジェクトは中国製に代わる米国製のドローンを提供することを目指しており、具体的には戦場で使用される無人航空機システムを開発する予定だと語った。シュミットの取り組みに詳しい情報筋のうち3人は、このプロジェクトはシュミットが最近ウクライナを訪問したことの影響を受けていると指摘。さらにこの情報筋のうちの2人は、グーグルのムーンショットラボ(一見不可能に思われる革新的な構想の現実化に取り組む研究所)の共同設立者であるセバスチャン・スランが関与していると付け加えた。

フォーブスは、スラン以外に誰がこの極秘プロジェクトに協力しているのか、いつ始まったのか、そしてシュミットが唯一の資金提供者なのかどうかを突き止めることはできなかった。2人の情報筋によると、ほんの一握りの人だけがこのプロジェクトに携わっていて、地政学的にデリケートな内容であるため、シュミットはこのプロジェクトをほぼ水面下で進めているという。会社が設立されたかどうかも不明だ。シュミットとスランはコメントの求めに応じなかった。

シュミットは、ドローンがウクライナでの戦争を変えつつあることについて大々的に意見を述べている。シュミットはキエフから帰国した後の7月に米紙ウォールストリート・ジャーナルに寄稿し、「戦争の未来はドローンに支配され、戦争はドローンによって行われるようになるだろう」と書いた。

米紙ワシントン・ポストは2023年7月に、シュミットが他の投資家とともにウクライナのスタートアップ・アクセラレーターであるD3に1000万ドル(約14.5億円)の出資を約束したと報じた。D3は軍事テックを専門としているが、シュミットのベンチャーとは別のようだ。D3という名称は「Dare to Defend Democracy(あえて民主主義を守るの意)」の略であり、アーリーステージのスタートアップに、まず12万5000ドル(約1800万円)の資金と、指導の機会も提供している。

2017年にグーグルの会長職を退いて以来、シュミットはさまざまな諮問委員会やシンクタンク、そして出資する数々のスタートアップを通じて、シリコンバレーと国防総省の仲介に多くの時間と資金を注いできた。ワシントンD.C.では、軍事機関に対して、特に人工知能(AI)関連にテクノロジー投資を加速させるよう提唱。シュミットはAIが国家安全保障と中国問題で重要な役割を果たすと信じている。シュミットは以前、国防総省のイノベーション委員会の委員長やAIに関する国家安全保障委員会の委員を務め、米国のAI戦略について正式な提言を行った。
次ページ > 有力な軍事戦略家と会談

翻訳=溝口慈子

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事