政治

2024.02.06 08:00

「潜水艦発射ドローン」は、台湾有事抑止の鍵になるか

Getty Images

Getty Images

中国が台湾に対して水陸両用作戦を展開するという脅威は、米国の防衛戦略において重要な課題となっている。このような作戦が成功した場合、中国の西太平洋における支配的軍事大国としての地位は強固なものになるだろう。

米国政府は、台湾に対するこうした脅威を抑止あるいは無力化するにあたり、深刻な課題を抱えている。中国の巨大な工業力、増強が続く同国の軍備、台湾への地理的近接性により、中国がこのエリアで軍事的優位性を高めているためだ。

中国の福建省と台湾を隔てる海峡の幅は、最狭部では約130kmしかない。中国のように水陸両用作戦の経験が乏しい国にとってさえ、奇襲攻撃を仕掛ける上で遠すぎる距離ではない。

さらに悪いことに、このエリアの海運および空運は、中国のセンサーネットワークによって常時監視されている。台湾周辺で活動する米国の水上艦艇や戦術航空機はすべて、武力衝突の際には激しい砲火を浴び、おそらく長期的に戦闘作戦を継続することはできないだろう。

状況を分析する軍事専門家の多くは、台湾防衛のためのいかなる作戦においても、米軍の潜水艦が重要な役割を果たすと指摘する。中国は、海底に対潜水艦センサーを配備しようとしているが、バージニア級原子力潜水艦には、中国による探知と追跡の試みを無効化できる、攻撃的および防御的な装備がある。

だが、米軍潜水艦の抗堪性(攻撃に耐え、機能を維持する能力)を前提とするにしても、緊急出動が可能な潜水艦は比較的数が少なく、中国の海軍力と比べれば取るに足りない。

バージニア級潜水艦の最新型「ブロックV」は、最大65発の魚雷サイズの兵器(魚雷または巡航ミサイル)を搭載できる。すなわち、バージニア級潜水艦を12隻出動させ、しかもそれらすべてが最新型だったとしても、約800の標的を攻撃することしかできない。

大規模な軍事作戦においては、この程度の数の標的を「毎日」攻撃する必要がある。ここからいくつかの示唆が得られるが、そのうちのひとつは、潜水艦発射兵器だけで台湾海峡有事を解決に導くことは困難であるということだ。

しかしこの問題は、潜水艦に、現在の計画とは異なる役割を担わせることで解決できるかもしれない。もし米軍の潜水艦が、安価な無人ドローンを収納したキャニスターを発射し、上空に達したドローンが、統合メッシュネットワークを構築して、軍艦など中国の重要戦力の発見、定位、追跡、標的化を担うとしたらどうだろうか。
次ページ > 「消耗品」システムの利点

翻訳=ガリレオ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事