2. 批判にうまく対処できなくなる
過保護な家庭で育ち、批判から遠ざけられてきた子どもは、自尊心が適切に育っていないことがある。常に親の導きや介入を必要とするようになるだけでなく、建設的なフィードバックをもらったり批判されたりしたときに、うまく対処できなくなってしまう。批判を受け止め、そこから学ぶために必要なレジリエンス(精神的回復力)や対処能力が欠けていると、身構えたり、批判されかねない状況を避けたりするようになる。批判された経験が少なければ、自己を成長させ向上させることもできない。自分自身の弱点や、伸ばすべき分野を認めようとしないためだ。
また、自らの弱点を受け入れられず、先入観や思い込みなしに自身を見つめることに伴う不快感に耐えらない結果として、内省できなかったり、自分を正しく認識することに苦労したりするかもしれない。批判に耐えられない状態は、結果的に、潜在能力をフルに発揮できないことにつながるおそれがある。
3. 適応力に乏しくなる
心理学の学術誌Frontiers in Psychologyに2021年に発表された研究論文によると、過保護な親に育てられた子どもは、思春期以降に心理的柔軟性が低下する恐れがある。心理的柔軟性の低さとは、思考や言動が狭量で硬直している状態を指し、新たな状況に適応したりストレスに対処したりすることが困難になる。親が過保護だと、子どもは困難や挫折を経験できず、そうした体験から学ぶ機会が奪われてしまう。その結果、失敗を恐れ、コンフォートゾーン(居心地の良い環境や精神状態)から出たがらなくなり、心理的柔軟性が低下してしまうのだ。
「ラップ子育て」では、子どもは新しい状況や環境に適応する能力がなかなか身につかない。たくさん経験を積むことができないため、変化や不慣れな状況に直面したときにうまく対応できない可能性が高くなる。
その影響は、新しい学校や仕事、人間関係に適応しにくいというかたちで表面化する。こうした状況でのやりとりに必要な柔軟性や適応性が育っていないからだ。さらに、異なる見方や考え方への理解が乏しいせいで、問題解決や批判的思考が難しくなる場合もある。
親が子どもを守りたいと考えるのは当然のことだが、その際には「子どもを守ること」と「子どもに外の世界を探求させ、自分の経験から学ばせること」のバランスをうまくとることが重要だ。親は、子どもが安全で協力的な環境下でリスクを取り、間違うことができるよう支え、適切な導きを提供するよう努めるべきなのだ。
(forbes.com 原文)