欧州

2024.02.23

野外集合のロシア軍部隊に連日のロケット砲攻撃、計120人超死亡

Mike Mareen / Shutterstock.com

ウクライナに全面侵攻して2年経つロシア軍の連隊や旅団は、白昼、前線から15〜30km程度しか離れていない開けた場所に部隊を集合させるという悪い癖がある。それは訓練のためのこともあれば、軍の幹部らによる閲兵のためのこともある。

前線から15〜30kmというのは、ウクライナ軍の米国製高機動ロケット砲システム(HIMARS)の主弾薬であるM30、M31ロケット弾の射程にゆうに収まる距離だ。

だから、ウクライナ軍がこうした部隊集合を2日間で2回、おそらくドローン(無人機)で発見し、砲撃を加えたのは驚くべきことではない。ロシア側にはそれぞれ60人超の死者が出たもようだ。

最初の攻撃は20日、ウクライナ東部ドネツク州の村トリジウシケに集まっていたロシア軍の第39独立自動車化狙撃旅団の部隊に対して行われた。現地では当時、第29諸兵科連合軍の指揮官オレグ・モイセーエフ少将の演説を控え、歩兵の2個中隊と指揮官であるG・ムサエフ大佐が整列していた。

ウクライナ軍のドローンが上空に到着し、HIMARSがロケット弾を発射したとき、モイセーエフは現地へ向かう途中だったと伝えられる。西方のブフレダル方面の前線は、部隊が集合していた場所からわずか30kmほどの距離だ。

HIMARSは、GPS(全地球測位システム)誘導のM30/31ロケット弾を最長約90km先の目標に向けて発射できる。各ロケット弾には18万2000個のタングステン調整破片が詰まっている。

生存者が撮影した動画や写真にはロシア兵らの多数の遺体が横たわっている様子が見える。攻撃を受けてムサエフを含む将兵65人が死亡したとされる。生存者の1人は大量殺戮の現場を撮影しながら「野外に並ばせやがって。クソ指揮官どもが」とののしっている。

ロシア軍がすぐには失敗から学ばないからといって非難しないようにしよう。翌21日、ロシア軍の2個部隊がまたぞろ訓練や点検のため野外に集まった。

場所は南部ヘルソン州のドニプロ川左岸(東岸)の村クリンキにあるウクライナ海兵隊の橋頭堡から、南へ30kmほどしか離れていないオレシュキー砂丘国立自然公園。第328親衛空挺連隊や第810親衛海軍歩兵旅団、第81自走砲連隊の部隊からなる2つのグループが集合していた。

ウクライナ軍のドローンがそれを見つけ、砲(こちらもHIMARSだったかもしれない)が狙いを定めて火を吹いた。ロシア軍部隊には60人かそこらの死者が出たとされる。

不用意に部隊を集合させたために大きな犠牲を被ったロシア軍だが、今後については安心を望めるもっともな理由がある。ウクライナ軍が35基ほど保有しているHIMARS用のM30/31ロケット弾の最大の供給国は米国であり、その米国からウクライナへの援助は議会のロシア寄り共和党議員らの手で阻まれているからだ。

これらの米国製ロケット弾もいずれ枯渇する。そのとき、ロシア軍部隊が白昼、ドローンの航続距離内やロケット弾の射程内の開けた場所にたむろするのは、今よりはるかに安全になっているだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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