経済・社会

2024.02.24 15:15

在米日本大使館のテイラー・スウィフト異例声明、ザワザワする外交官たち

Photo by Graham Denholm/TAS24/Getty Images for TAS Rights Management

一方、別の大使経験者は「私が公館長だったら、そこまではやらせないかな」と語りつつ、「詳しい事情は知りませんが、ワシントンの日本大使館が踏み込んだ気持ちもよくわかります」と話す。「今は、新聞記者じゃなくて、インフルエンサーをつかまえなきゃいけない時代ですから」
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スウィフトさんは、インスタグラムのフォロワー数が2億8千万人を超え、オピニオンリーダーとして今年秋の米大統領選への影響力についても語られるほどのスーパー・インフルエンサーだ。トランプ前大統領ですら、スウィフトさんの動向を気にする様子を隠さない。スウィフトさんの発信次第で、大統領選の行方が左右されると意識しているからこその動きだろう。

どこの国の外務省も従来、新聞やテレビの若手記者らを対象にメディア・ツアーを企画してきた。自分たちの国を理解してもらい、正確に、あわよくば好意的に発信してもらうためだ。少し前までは、政府が情報を発信する場所は、ほぼ記者会見ないしは、「ぶら下がり」と呼ばれる現場でのコメントくらいに限られていた。

ところが、今や誰もが自由に情報を発信する時代だ。在米日本大使館がスウィフトさんに言及したのも、「スウィフトさんのように米国の人々に絶大な影響力を持つ人に、好印象を持ってもらいたい」という計算があったのかもしれない。一昔前までは、ワシントンポストやニューヨークタイムスの論調だけを気にしていた日本外務省だが、今のご時世、スウィフトさんに嫌われたら大変なことになりかねない。
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ただ、最近は人工知能(AI)を使った精巧な偽画像・動画「ディープ・フェイク」も流行っている。最近も、「フランスのマクロン大統領が暗殺計画を理由に、ウクライナ訪問を延期した」という、仏国際放送局の偽ニュースが流れ、フランス国内で物議を醸している。

大使経験者の一人は「誰もが見識と責任を持った発信をしているわけではありません。ましてやディープ・フェイクもあります。外務省としても守備範囲が広がって、対応に頭を痛めていると思います」と語った。

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