AI

2024.02.23 15:00

「体内のゴミ処理システム」を治療に活かす方法を探すAI創薬企業VantAI

安井克至

「グラフ理論」も活用

VantAIのテクノロジーのもう1つの特徴は、TikTokがどのような動画をレコメンドするかを判断するグラフ理論の活用にあるという。あなたがテイラー・スウィフトのファンならその楽曲に興味を持つように、体内の化学の世界でも、ある分子の異なる部分が、別の分子の異なる部分に引き寄せられたり、あるいは反発したりするといった力学が働いている。VantAIのチーフ・サイエンティストのマイケル・ブロンスタインは、この種の機械学習の専門家であり、ツイッター在籍時にはグラフ学習の責任者を務めていた。

ブリストル・マイヤーズスクイブは、プロテインデグレーダーを最初に商品化した企業であり「この分野におけるリードを拡大することに興味がある」とプレンゲは付け加えた。

ただし、VantAIは他の製薬大手とも提携を結んでおり、ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門のヤンセンファーマやベーリンガー・インゲルハイム、ブループリント・メディシンズとも複数年の共同研究を行っている。これらの共同研究契約は、研究マイルストーンとして、ロイヤルティを含めずに30億ドル以上の価値がある可能性がある。

カーペンターは、これらの提携がVantAIが創薬分野でできることの「限界を押し広げる」ことに役立っていると語った。金銭的なインセンティブもすばらしいが、重要なのは求められるイノベーションがVantAIの戦略と合致することにあると彼は述べている。「やろうとしていることが、私たちの技術に適していなければなりませんし、双方にとってすばらしい学習の機会がなければなりません」とカーペンターは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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