中国バイトダンスが米国で「AI創薬」の専門家を募集する理由

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TikTokの親会社である中国のバイトダンスは、ソーシャルメディアの枠を大きく超えた分野での活動を強化していることがフォーブスの調査で明らかになった。

LinkedInに掲載された情報によると、北京を拠点とする巨大テック企業は「AI for Drug Design」と「AI for Science」と呼ばれる人工知能(AI)を活用するチームのために、計算生物学や量子化学などの専門知識を持つ米国人の人材を募集しており、ニューヨーク州やカリフォルニア州、ワシントン州で少なくとも17の職種を募集している。

バイトダンスのAI創薬のチームは「創薬に革命を起こす」ことを目指しており、シリコンバレーで博士課程の学生を募集している。「当社は、タンパク質構造予測や分子構造解析などの複雑な課題に取り組み、AI主導の創薬の限界を押し広げることに専念しています」と彼らは述べている。

一方、AIサイエンスのチームは、生物学や物理学などの自然科学の課題に取り組むことに重点を置き、バイトダンスとともに「未来を共同創造」することになると求人情報には書かれている。

その未来が具体的にどのようなものなのかは不明だ。また、創薬やサイエンスに特化した取り組みが、TikTokやその中国版のDouyin(抖音)などのSNS事業にどのように組み合わされるのかもわからない。バイトダンスは、プロジェクトの目的や規模、すでに雇用した人材についてのコメントを拒否している。

しかし、LinkedInの情報によると、昨年夏に始動した2つのチームは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のGeneral Artificial Intelligence Lab(一般人工知能ラボ)を運営している専門家を責任者に迎え、タンパク質設計と薬品設計に関する研究や、構造生物学とAIを組み合わせたオープンソースツールを発表している。

TikTokは、フォーブスのコメント要請に応じなかった。
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編集=上田裕資

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