経営・戦略

2024.01.10 08:00

中国バイトダンスが米国で「AI創薬」の専門家を募集する理由

TikTokのデータを「AI創薬」に活用?

フォーブスは、これらのバイトダンスの取り組みがTikTokの事業と関連していることを示す証拠を見つけることができていない。しかし、専門家は、TikTokやバイトダンスが所有する他のプラットフォームからのデータは、これらの科学イニシアティブにとって非常に価値がある可能性があると述べている。

創薬や新たな治療法の開発において、専門家や製薬会社は通常「ターゲット・プロダクト・プロフィール(TPP)」と呼ばれる、最適な薬がどのようなものか、その薬で対処する症状や主要な課題が何なのかを決定する上で役立つ指標に沿って作業を進めていく。専門家によると、TikTokは多くの人々が健康やウェルネスのコンテンツに惹かれ、医療問題についてオープンに話し、他の人に効果があった(またはなかった)情報を定期的に求める場所であり、医薬品の開発者にとって貴重なフィードバックループとマーケティングツールとして機能する可能性があるという。

「若いSNSユーザーが見ている動画の種類や消費しているコンテンツから、彼らが直面している状態についての洞察が得られるかもしれません」と、ヴァンダービルト大学のデータサイエンス研究所の共同ディレクターであるダグラス・シュミット教授はいう。「彼らにとって魅力的な製品を販売する方法を見つけることができれば、競争力のある製品を作り上げ、それをTikTokで宣伝することが想像できます」

一方、FDAの元チーフサイエンティストで、以前はジョンソン・エンド・ジョンソンで医薬品の研究開発を率いていたエリック・ペラクリスは「彼らはこのデータを使って大規模な仮説生成を行い、そのデータを中国の製薬会社や中国の兵器メーカーに供給している可能性があります」と述べている。「新薬を開発するのと同じ技術が、生物兵器にも使えるのです」と彼は付け加えた。
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編集=上田裕資

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