VPN(仮想プライベートネットワーク)のレビューサイトTop10VPNが1月2日に発表したデータによると、昨年1年間に25カ国で合計196件の大規模なインターネットの停止が発生した。
政府によるインターネットの停止は通常、通信の全面的な遮断やソーシャルメディアのブロックという形をとると、Top10VPNは述べている。さらに、政府がネットの接続速度を制限し、抗議活動や人権侵害の映像を配信できないようにする場合もある。
国別の停止の件数では、イラクが66件と最も多く、そのほとんどすべてが学校の試験に関連したネットの遮断だった。一方、最も長く続いたのは、インドのマニプール州が実施したもので、5000時間以上も続いていた。
また、政府によるインターネット遮断の半数は人権侵害に関連しており、その多くは集会の自由を制限するものだった。「このような意図的な混乱は、市民のデジタル上の権利を侵害するだけでなく、国家の経済的な自傷行為と言える」と、同レポートは指摘している。
Top10VPNは、インターネットを監視するNGOのNetblocksが開発したCostというツールを使って、ネット遮断のコストを計算した。その結果、2023年に世界最大の経済的ダメージを被ったのはロシアで、損失額は40億2000万ドル(約5815億円)、次いでエチオピアの15億9000万ドル(約2300億円)、イランの9億2000万ドル(約1330億円)の順だった。
「ロシア政府によるインスタグラムやフェイスブック、X(旧ツイッター)の禁止は2022年2月に初めて実施され、2023年には世界で最も高価なシャットダウンとなった」とTop10VPNは述べている。
一方、このデータには、パレスチナのガザ地区におけるネット停止による損害が盛り込まれていない。同地区では昨年の10月以来、複数のネットワークで少なくとも6回の大規模なブラックアウトが発生した。「これらの停止が非常に深刻な損害を与えたことは間違いないが、その経済的影響を見積もることは、紛争がもたらす広範な影響のため、ほとんど不可能だ」とTop10VPNは説明している。
しかし、デジタル公民権に焦点を当てた非営利団体のAccess Nowによると、2023年10月中のガザ全域のインターネット・トラフィックは、通信インフラへの直接攻撃や電力へのアクセス制限、通信サービスの技術的な障害を受けて、80%以上も減少していた。
ガザの通信会社のPaltel(パルテル)によると、直近では12月下旬に2日間のインターネット停止が発生していた。
(forbes.com 原文)