変革には「変革スキル」が必要
そして、三つ目の鍵となるのが変革を進めるための「変革のスキル」の定着。変革スキルを組織のメンバーに習得してもらい、変革をリードしてもらえるようにすることが、変革成功の鍵になります。「変革スキル」とは一体何でしょうか? 新しいデジタルツールを使いこなすためのスキルだけではありません。周囲のメンバーや部下の動き方を変えるためのコーチングスキル、活動の進捗を追いかけ、火消しし、次に進ませるための問題解決スキル。営業改革の場合は、営業組織の勝因を分析する分析スキルも必要です。営業改革の場合は、営業組織の勝因を分析する分析スキルも必要になってきます。
どのような組織変革においても重要になる「変革スキル」は次の5つです。
実は、どのような組織にも元々こうした変革スキルを持っている人が数名はいます。なので、最初は彼らを中心に変革が進みます。しかし、そのままでは危険です。この一部のスキルある人に、変革の苦労の大部分を押し付けて、潰してしまったり、変革の火を消してしまったりする企業がいかに多いことか。
変革はスキルなので、ちゃんと育てなければダメなのです。最終的には少なくとも組織の3割の人がこれらのスキルを身に付け、変革をリードしていくように仕向けなければ、組織変革は途中で頓挫すると考えて間違えないでしょう。
必要なスキルを定義して、座学のような形で教えるだけではなく、実際に変革を進めながら、実地でスキルをコーチングしていくのが、スキル構築の鍵になります。
組織変革を「徹底させる」3つのコツ
最後に、変革を組織の文化になるよう定着させるために、仕組みづくりが大切になります。それには3つのコツがあります。1. 変革やスキル構築のインセンティブを与え続けること
変革のアイデアを出し、実行することや、上述のスキル構築をしたことを評価し、報酬を与える。報酬が金銭的なものであれ、表彰など非金銭的なものであれ、インセンティブを与える方向に人は動きます。そして、その動きは定着していきます
2. 動き方をプロセスに落とすこと
新しい動き方を定義して、プロセスに落とし込むこと。詳しくは本連載第4回の営業プロセスの項参照。
3. 会議体で変革の進捗を追う体制にすること
マイクロマネジメントはしない、限られたKIPと実行レベルについてのみ週次、月次で追い続ける。進捗していない期間が長すぎる、遅れが大きすぎる場合のみ、細かく入り込んで問題解決をする。
このような仕組みをつくることで、進み始めた変革を定着させることができます。変革の最終的な成功には、この仕組みづくりが最も大切なのです。
今回解説した「インフルエンスモデル」は、営業改革に限らず様々な組織変革や変革に有用なフレームワークです。何らかのことで人の心を動かし、変革することに苦労されているマネジメントやリーダーの皆さま、是非今回の話を応用してみてください。