日本人にささるストーリーとは
では、これらの4つの鍵は、営業改革でどのように活用するのでしょうか。まず、ストーリー。組織を動かすためには、「目標設定(What)」「どうやって変革するかのノウハウ (How)」以上に、「何故いま変革が必要なのか(Why)」を組織に伝えることが一番大切です。
図2:組織変革のWhy What How
「人々は変化を嫌う」という言い回しがありますが、実際には人々は変化が嫌いなのではなく、納得できない方向に勝手に変えられることが嫌いなだけなのです。納得がいくことであれば、人々は変化を喜んで受け入れます。組織変革も同じで、何故今変革が必要か、人々が納得するストーリーがあれば、変革を受け入れ、喜んで変革を推進する側に回ってくれるのです。
ヴァージン・グループの創業者、リチャード・ブランソンは、2017年のForbesのインタビューで「ストーリーテリングによって変革が進む」と語っています。そして「今の時代、ただのストーリーではダメだ。人を動かすに足る効果的なストーリーである必要がある」とも。
最も効果的なストーリーとは、常にドラマティックな要素があるそうです。主人公が困難に立ち向かい、乗り越えて、勝利を手にするドラマチックなストーリーが、良いストーリーの典型であるとブランソンは語ります。
私の経験では、日本企業においては、この「困難を乗り越えて勝利」に加えて、皆で一丸となって(友情)、頑張ろう(努力)の要素があるとより刺さるストーリーになります。そう、まさに日本の少年マンガの三要素「友情・努力・勝利」こそ、良いストーリーのテンプレートなのです。
「組織や企業が今までにない危機に直面していて、その危機を乗り越えるためには皆さんの協力が必要。協力し、一緒に努力し続ければこの危機を乗り越えることができる」という「友情・努力・勝利」ストーリーが、日本企業においては感動を呼び、「やってやろう」と思わせるストーリーであることが多いのです。
図3:日本人に刺さるストーリー「危機→友情・努力→勝利」