経営コンサルティングファームのマッキンゼーでは、組織変革をどのように成功させているのか。本稿ではマッキンゼーが使っている「4つの鍵」を紹介します。
変革のフレームワーク「インフルエンスモデル」
組織変革のフレームワークと言えば、マッキンゼーの7Sを思い出す方も多いかもしれません。7Sは1980年に経営雑誌の論文で発表されて以来、50年にわたって世界中で組織設計に活用されているフレームワークです。実はこの7S、組織設計を行うには非常に有用ですが、動的なフレームワークではないため、現在進行形で組織の人々を動かし、変革を推し進めていく際にはあまり使いません。実際の組織変革の中で私たちが活用するフレームワークが、「インフルエンスモデル」と呼ばれるフレームワークです。
営業改革に限らず、組織変革を行うと多くのことが変わります。今まで慣れていた業務を止めることで新しい業務が発生したり、新たなツールを導入したり、組織そのものが変わり、一緒に働く人も変わったりします。
変革には痛みを伴うこともありますし、組織慣性*だけでなく、抵抗勢力が出ることもあり、変革が頓挫しそうになることもあるでしょう。そんな時、次の「インフルエンスモデル―変革の4つの鍵」を使って、変革そのものを見直してみてほしいのです。
*重いタンカーが慣性の法則で航路を変えるのが難しいように、大きな組織が新しい方向性に舵を切るのが難しく、中々動かないこと
「変革の4つの鍵」とは何でしょうか。ひとつ目が、「変革のストーリー」です。なぜ変革を進める必要があるのか、を端的に語りかけるストーリーテリングの力が、組織変革を成功させるためには重要です。
ストーリーが腹落ちして、変革が始まったら大切になるのが2つ目の「変革のロールモデル」です。変革をする理由は分かったが、どう動けばよいのか?と社員の多くが思っているとき、まずは経営陣が新しい動き方の手本を示すのです。
3つ目が、変革の「スキル」。変革ストーリーに納得し、変革の手本が分かっても、「変革のためのスキル」がなければ変革は前に進みません。
4つ目が「進み始めた変革を定着させるための仕組み」。変革をリードして成功した人を評価し、表彰し、報酬を与える、インセンティブの仕組み。活動一つひとつが進んでいるかを日次、週次、月次でチェックできる見える化や会議体。変革の最終的な成功には、この仕組みづくりが大切です。