経済・社会

2024.02.16 15:30

日本発トランジション・ファイナンスこそ「地球の希望」になる

22年は日本でプライム市場上場企業にTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示を要請している。これは世界をリードする動きのひとつでもあるといえるだろう。ISSBに対応する日本の基準開発主体としてサステナビリティ基準委員会(SSBJ)も設置され、23年から有価証券報告書にサステナビリティ情報の記載欄が設けられた。自発的な取り組みから法制度としての仕組みまで、気候変動に関する企業の情報開示についての枠組みも整いつつある。

TCFD賛同機関数は、日本が今、圧倒的に世界でいちばん多い。17年当時は、サステナブル・ファイナンスの論点を知っている日本人は少数派で、スロースターターだったが、それがある時点から急速に日本で増えていった。将来の気候変動と金融のあり方を考えると、結局それは社会のあり方を考えることだといえる。

ネットゼロ社会というものを想定すると、それは社会のあり方自体が相当変わらざるをえない。大変な社会の変革だが、少なくともパリ協定への合意からここまで枠組みが出来上がってきた。だから、希望を捨てる必要はないし、日本が世界の取り組みをリードできる可能性が十分ある。

課題はまだまだあるが、この数年の日本における、特にサステナブル・ファイナンスにおける議論の進化は、本当に目覚ましい。15年を振り返っても隔世の感がある。当時はそもそも環境と金融を結び付けて考えるという発想自体がそれほど多くなかったが、今ではほとんどの省庁が何らかのかたちで気候変動対策にはかかわっている。これからも加速度的に変化を起こしていくことは可能なはずだ。


高田英樹◎1972年生まれ。東京大学法学部卒。ケンブリッジ大学法律学修士、ロンドン大学経営学修士。1995年大蔵省(現財務省)入省。英国財務省に出向。2015年から3年、パリ・OECD(経済協力開発機構)に出向し、グリーン・ファイナンスを担当。Green Finance Network Japanを発足。

文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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