サイエンス

2024.02.11 16:00

創造性と知性の証、「皮肉」には人を引きつける力がある 取り扱い注意だが

2. 皮肉を燃料にした「したたかさ」は驚くほど人を惹きつける

人は日々のメンタルヘルス上の課題に対処するため、さまざまな対処法を使うものだ。そして、困難な状況の中でも笑顔を見つける能力があれば、皮肉を交えたユーモアは魅力的な資質となり得る。辛いときに発せられる心からのユーモアは共感を呼び起こすかもしれないが、不謹慎で空気を読まない皮肉こそが真に緊張を解放し笑いを誘うのだ。

『Journal of Psychiatric Research』に掲載された2021年の研究によれば、人は困難な状況下では、対処戦略の1つとしてしばしば皮肉に転じるという。これは、たとえ困難のさなかだろうと、自分自身や他の誰かを軽くからかう余裕を持てることを意味し、パートナーや友人に自信が求められる場合に魅力的に感じられるだろう。

また、社会的規範に対する皮肉めいたコメント、複雑な人生での経験によって生まれる不条理や矛盾点を突くユーモアは、刺激的な会話を楽しむ人からすると洞察に富んだ魅力的なものに映る場合もある。

3. 皮肉は共鳴する仲間を見つけ出すのに役立つ

笑いのセンスの共有は、人間関係の強化に大いに役立つものだ。2015年に『Journal of Personal Relationships』で発表された研究では、いっしょに笑うことが人間関係の質や親密性、社会的サポートを高めて全体的な安心感や、円滑なコミュニケーションに寄与したという。

皮肉めいた発言を遊びとして楽しむ人は、小生意気なコメントを快活に受け止め、同じような口調で返してきた相手を高く評価する。この力学が活発で互酬的なコミュニケーションの機会を生み、その独特で楽しいやりとりは、社会的交流にユニークな魅力を加えるものなのだ。

皮肉はニュアンスに富んだ説得力を持つコミュニケーションの1つの形態だ。しかしその危うい性質を考えると、皮肉は知性、共感力、優雅さ、そして細心の注意を持って扱われる必要がある。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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