それはズバリ、「雑談」だ。AIチャットボットは何かを調べたいときや、文章を書いてもらいたいときなどに利用するものと思っていたが、いつの間にかおしゃべりの相手になっていた。何年か前のSF映画では、AIバーテンダーが客の雑談の相手をするという定番のシーンがよく見られたが、すでに現実になってしまった感じだ。
雑談は、2023年のトップ10では6位だった。そのほかは、事実に関する調べもの、専門的なトピックの相談、プログラミング、翻訳、文章の編集など仕事関連の用途が主だった。2024年4月、大規模言語モデルのアップグレードを実施し名称をBardからGeminiに変更すると、能力が向上して一般ユーザーの用途も拡大した。今回発表された2024年のトップ10では、勉強のお手伝い、買い物のための下調べ、旅行のアイデアといったプライベートな利用が目立つ。
ChatGPTで知りたいことが直接わかるようになると、人々は検索エンジンを使わなくなる。そうなると、検索サービスの広告収入に依存するGoogleは困ってしまう。そこでGoogleは、それまで研究を重ねてきた独自の大規模言語モデルを使ったAIチャットボットをリリースした。そのためGeminiは、一般ユーザーが親しみやすいAIチャットボットとなっていて、学術的な研究から誕生したChatGPTとは性格が異なる。雑談が得意なのは、そのせいかもしれない。せっかくなので、ChatGPTとGeminiに、それぞれの違いを尋ねてみた。
ChatGPTの回答:ChatGPTは汎用性が高い、強力な文章生成能力を持つ、プラグイン機能やインターネットアクセスなどで機能を拡張できる。一方Geminiは、Googleの検索エンジンや他のサービスと深く統合されていて最新情報へのアクセス性が高い、マルチモーダル(画像、音声、テキストを組み合わせた)処理に特化、高度な情報検索と整理が得意、ということだ。
Geminiの回答:ChatGPTは、テキスト生成、対話、翻訳、質問応答、コード生成などテキストベースのタスクがおもな用途で、マルチモーダルも可能だがGeminiのようにネイティブにマルチモーダルではない、まれに事実と異なる情報を生成することがある、Googleサービスとの連携は限定的。一方Geminiは、テキストだけでなく、画像、音声、多様なデータを同時に処理できる、Googleの各種サービスとの連携もスムーズ、ネイティブにマルチモーダル、情報の正確性が高い傾向にある、ということだ。相手の評価にも、それぞれの性格の違いが見られる。正直なChatGPTに対して、それとなく自分を自慢するGeminiのほうがどこか人間的だ。
GeminiとChatGPTに、AIチャットボットによって広告収入が減るのかを尋ねると、両者ともその可能性はあるが、AIとの対話の中に自然に広告を組み込むことで、従来のバナー広告よりも効果的な広告手法が生まれる可能性があると話していた。さりげなく何かを売りつけようとしてくる友だちは敬遠したくなるが、的確に商品を薦めてくれるのなら、適度な距離を保ちつつお付き合いできるかもしれない。
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