欧州

2024.02.07 10:30

40両超を撃破 「血の味覚えた」ウクライナ軍ジャベリン名砲手が記録重ねる

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第79旅団にはジャベリンのエース砲手が他にもいる。その1人であるアンドリー・H下級曹長は1月、1回の小競り合いでロシア軍の車両を4両撃破したと報じられている。ただ、ロシア側にとって最も危険なジャベリン使いはやはりハハウズかもしれない。
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「わたしたちはいつもペアで行動します」と彼はインタビューで説明している。通常はウクライナ側の防衛線とロシア側の防衛線の間に広がるグレーゾーンにある既設の射撃陣地から攻撃するが、ピンチの場合は、攻撃してくるロシア軍部隊に対してよリ良い照準線(照準器と目標を結ぶ線)を確保するために陣地を変えるという。

戦闘の際はハハウズがジャベリンの6.8kgの発射装置を昼夜対応の照準器で操作し、ペアの相手がミサイルを取り扱う。「目標を発見すると、わたしは観測しながら相手に指示を出します。彼はロケット(ミサイル)を準備し、わたしは目標を追跡します。そして発射します」

ジャベリンは撃ちっ放し型のミサイルなので、発射後、チームは撤収できる。というより、撤収しなくてはならない。なぜなら、しっかり訓練された敵部隊なら即座に撃ち返してくるからだ。ハハウズはロシア軍の軍用機やBM-30スメルチ多連装ロケット砲で応酬された経験もあるという。「対戦車兵は非常に危険な仕事なんです」と彼は語る。
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ハハウズの攻撃を受ける側のロシア軍部隊の1つは、運に見放されている部隊でもある。ロシア海軍歩兵隊の第155独立親衛海軍歩兵旅団は2年近くにわたって、ハハウズの旅団が守る町の1つであるブフレダルの占領を試みてきたが、これまで失敗している。

ブフレダル周辺の道路や平地にはロシア軍の車両の残骸が散乱している。そのうち、少なくとも40の山はハハウズがつくり出したものだ。

第二次大戦時と同様に、ウクライナでの戦争でもエースたちが最も多く敵の兵器を仕留めている。彼らを恐るべき車両キラーなどにしている天分や磨き上げた技能は、彼らの生存率を高めることにもつながっているかもしれない。

もしハハウズを挫かせることのできるものがあるとすれば、それは米国の共和党だろう。共和党は何カ月もウクライナへの追加支援の採決を拒んできた。その支援にはジャベリンの追加供与も含まれるはずだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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