欧州

2024.02.06 11:15

欧州でGPS妨害が多発、航空機の運航に影響 発信源はロシアか

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昨年、中東で相次いだ、偽の無線信号を発信して受信機をだます「GPSスプーフィング」による航空機のコース逸脱がいま、欧州でも発生している。偽の無線信号の発信源はロシアだ。

公開されている航空機追跡のデータベースによると、バルト海沿岸地域の上空を飛行する航空機が昨年12月以降、GPS信号への干渉を経験している。干渉の程度には幅があるが、クリスマス時期に多発した。

米防衛ニュースサイトのブレーキング・ディフェンスによると、クリスマスとその翌日にGPSの電波妨害が急増し、ポーランド北部とスウェーデン南部の広範囲に影響が及んだ。大晦日には、フィンランド南東部の上空を飛行していた航空機が妨害を報告。ポーランドの一部では1月中旬に再びGPS妨害が発生した。1月末にかけては、スウェーデン南部、ポーランド北部、エストニア、ラトビアが影響を受けた。

米テキサス大学無線航法研究所(UTRL)による電波妨害とスプーフィングの分析では、地球低軌道の衛星を使って特定されたイラン・テヘラン近郊のスプーフィング発信源とほぼ同じ方法を用いている発信源が検出された。

UTRLの大学院生ザック・クレメンツは、非営利団体レジリエント・ナビゲーション・アンド・タイミング・ファウンデーション代表のダナ・ゴワードに、UTRLの研究者はロシアがスプーフィングの発信源であると確信していると語った。広範囲にわたって点在する多くの送信機がGPSを使えないようにするために偽のGPS信号を発信。少なくとも1つの発信機は、航空機が実際の位置から遠く離れたところで円を描いて飛行していることが計器に示されるような方法でスプーフィングを行っていた。

ゴワードは、この種の「サークル・スプーフィング」は船舶で頻繁に発生していると指摘。クリスマス時期の事案は、航空業界で報告されたものとしては初だった。クレメンツによると、航空機がスプーフィングされた場所は、現在使用されていないロシア空軍のスモレンスク航空基地から約1km離れた野原だったという。

スプーフィングの規模や、一部の航空機の電子機器が「乗っ取られた」(GPSや高度情報通信システム、自動操縦装置、その他のシステムが混乱した)とみられる事実は、2023年秋以降に中東で見られた傾向が欧州でも発生していることを示唆している。

筆者は1月31日に、衛星測位誘導などに関する米国の諮問委員会の委員でもあるダナ・ゴワードと電話で話した。

ゴワードによると、大手航空会社数社のパイロットは、使用する航法システム(慣性航法、長距離電波航法など)がスプーフィングの影響を受けないよう、上記の欧州北部およびバルト海沿岸地域を飛行する際にはGPSナビシステムを無効にし始めたという。
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翻訳=溝口慈子

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