「カクレクマノミは、自分と同じ帯模様を持つ種に対して最も攻撃的な行動を示しました」と林博士は語る。
その一方で、それ以外のクマノミ類に対する攻撃行動は少なかった。体の上部に沿って白い帯を持つセジロクマノミは(ほぼ)無視され、3本の帯模様を持つクマノミと、2つの白い斑紋を持つトウアカクマノミが、多少攻撃されただけだった。
研究チームはさらに、小さなカクレクマノミたちの激しい攻撃行動を引き起こしたきっかけが、侵入者の特定の形状や配置ではなく、帯模様の数であるかどうかを調べるべく帯模様が0本、1本、2本および3本のプラスチック製の模型を作り、個別の水槽に入れたカクレクマノミの幼魚に見せて反応を撮影した。
研究チームが予想したとおり、カクレクマノミは帯模様のないオレンジ色の模型にはほとんど興味を示さず、1本の帯模様の模型は時折つついただけだった。しかし、帯が2本の模型への攻撃頻度は高く、帯が3本の模型に対しては、場所を共有することを嫌う明確な行動を示した。
しかし、カクレクマノミの帯模様は3本なのに、なぜ帯が2本の模型を攻撃したのだろうか? 計算能力が欠けているのだろうか? 視力が悪いのだろうか? 幼少時のトラウマなのだろうか? おそらくどれも違う。林博士は、帯が2本の模型に対するカクレクマノミの攻撃性は、彼らの成長過程に関連している可能性があると指摘する。