宇宙

2024.03.14

驚異の13億画素「帆座超新星残骸」最新画像、南米チリの山頂から撮影

帆座超新星残骸を捉えた最新の13億画素画像。南米チリの標高2200mの山頂にあるセロ・トロロ汎米天文台に設置された「ダークエネルギーカメラ」で撮影(CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA, Image Processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), M. Zamani & D. de Martin (NSF’s NOIRLab))

約1万1000年前に超新星爆発を起こした大質量星が宇宙空間に残した残骸である「帆座超新星残骸」を、南米チリにある地上望遠鏡で捉えた驚異の1.3ギガピクセル(13億画素)の画像が公開された。

この画像は、チリのセロ・トロロ汎米天文台にある全米科学財団(NSF)のビクターM。ブランコ4m望遠鏡に取り付けられたダークエネルギーカメラ(DECam)で撮影された。

画像のダウンロードサイト

この壮観な画像は、驚くことに7種類の異なる解像度でダウンロードして入手できる。最高画質の画像のダウンロードサイズは2.8GBだ。また、オンラインでズーム機能を使って見ることができる画像も提供されている。

ブランコ望遠鏡は、集めた光を直径4mの鏡で反射して補正レンズを通し、格子状に配置された62枚のCCD(撮像素子)に入射させる。CCDはスマートフォンのカメラに使われているカメラセンサーのようなものだ。それぞれ異なる波長の光を透過する3種類のフィルターを用いて、3回にわたり画像データを収集した。


帆座超新星残骸の13億画素画像に写っているその他の興味深い天体の一部(CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA, Image Processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), M. Zamani & D. de Martin (NSF’s NOIRLab))

帆座超新星残骸の13億画素画像に写っているその他の興味深い天体の一部(CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA, Image Processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), M. Zamani & D. de Martin (NSF’s NOIRLab))

クモの巣状のフィラメント

今回の画像は、この天体のこれまでで最大規模のサイズのもので、膨張しているガス雲全体に蛇行するように伸びる、入り組んだクモの巣状のフィラメントを写し出している。この画像の印象的な赤、黄、青の色彩は、それぞれが特定の色の光を集める3種類のDECamフィルターを用いることで実現した。各フィルターで個別に撮影した画像を重ね合わせて、この高解像度カラー画像を作成した。

地球に最も近い

帆座の方向約800光年の距離にあるこの超新星残骸は、地球に最も近いものの1つだ。1万1000年前に激しく爆発した恒星の、息をのむほど美しいこの残骸は、直径が100光年で、見かけの大きさは夜空の満月の20個分に相当する。現在見えているのは、宇宙空間へと衝撃波が進むのにともない、ガス雲が植物の巻きひげのような形になって輝き、細いガスのフィラメントがクモの巣状に絡み合う構造を形成している様子だ。

超新星残骸

帆座超新星残骸の高解像度画像が作成されたのは、今回が初めてではない。2022年10月、これもチリにある欧州南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLTを用いて、5億5400万画素版が作成された。この画像は、1.1GBのファイルとしてダウンロード可能で、オンラインでズーム機能を使って見ることもできる。だが、この画像は超新星残骸の中心域だけで、満月約9個分の範囲しかない。

2023年12月には、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が捉えた超新星残骸「カシオペア座A(Cas A)」の、これまでで最高解像度の画像が公開された。Cas Aは、W字形で有名な北天の星座カシオペア座の方向約1万1000光年の距離にある。直径は10光年で、これまでにも多くの研究がなされている。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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