サイエンス

2024.03.15 14:30

実は攻撃的なカクレクマノミは他の魚の「縞」を数えて敵味方を区別する

安井克至

3匹のカクレクマノミが1匹のイソギンチャクを共有している(Klaus Stiefel / CC BY-NC 2.0 DEED)

カクレクマノミの計算能力と知能は著しく過小評価されているかもしれない。

ピクサーのアニメーション映画『ファインディング・ニモ』が2003年に公開された当時、作品は大評判となり、そのカラフルなスターたちは優しくて平和を愛する生き物だと見た人たちに印象づけた。しかしながら、実際には違う。カクレクマノミは自分たちのイソギンチャクの家を同類の他者から守るために積極的に戦う喧嘩っ早い魚だ。そこで疑問が生まれる。クマノミたちはどうやって、自分たちの仲間と近くに住む別の帯模様を持つ魚たちとを区別しているのだろうか?

沖縄科学技術大学院大学のリサーチフェローである林希奈博士は、同じ場所に住むクマノミ類の帯模様が、3本の白い線を持つものから、帯模様を持たないものまで、さまざまな種類がある傾向に気づいた。果たしてこの魚たちは、他の魚の帯模様の数を「数えて」侵入者を認識し、仲間か敵かを区別しているのだろうか?

それを調べるために、林博士と共同研究者らは、120匹のカクレクマノミ(学名Amphiprion ocellaris)を他のクマノミ類と隔離して卵から育てた。幼魚が約6カ月に成長したとき、研究チームは魚たちを異なる帯模様を持つクマノミ類であるクマノミ(Amphiprion clarkii)、セジロクマノミ(Amphiprion sandaracinos)、トウアカクマノミ(Amphiprion polymnus)および、同種であるカクレクマノミと同じ水槽に入れ、その反応を撮影した。 

クマノミ(Amphiprion clarkii)とイソギンチャク(BEN LANCASTER VIA A CREATIVE COMMONS LICENSE)

クマノミ(Amphiprion clarkii)とイソギンチャク(BEN LANCASTER VIA A CREATIVE COMMONS LICENSE)

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翻訳=高橋信夫

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